第18章 新たな出会い
「ふふっ…自分の力量位分かっておりますよ。ささっ、参りましょう!」
「…ええ、わかったわ。取り敢えず、さっきまで寝ていたからある程度は大丈夫よ。」
そうして、私達は仕度を済ませ信長様に許可を取り、診療所に行った。…一応護衛が隠れているらしい。
「…此処が、私の診療所。」
「はい、此処が姫様の診療所ですよ。」
私はこの建物を見てとても驚いた。何せ、嘗ての蝶屋敷と瓜二つなのだ。驚かないなんてまず無理だろう。
一つ違うというところは、表札が門の上になり蝶屋敷と大きく書かれているところだ。
「…まるで、あの場所に帰ってきたかの様だわ。」
「…姫様?」
「…っ。ううん、何でもないの。早く中に入りましょうか。」
そう言って、私達は診療所、いいや蝶屋敷に入って行った。
診療所内はかなり広く、患者の療養の場と問診の場があった。…あっ、仮眠室もあります。流石に、ベッドは用意出来なかったようで布団になっている。…仕方がないですかね。ここまで、していただいたのですから、あとは自分でなんとかしますか。私は、陽に指示を出し、テキパキと必要な道具や薬を準備した。
「…えっと、この薬品は胃潰瘍のためだから、此処で。この薬は…」
「…っ姫様!大変でございます!」
「……?どうしたの、陽?」
突然、門前の掃除をしていた陽が慌てて私の下に来た。
「急患の方です!男性4人の内の1人です!」
私はその言葉を聞いて、陽に指示を出した。
「急いで、布団を準備して。あと、急患用の道具も準備!それと、急患の方はどちらに?」
「門のところにいらっしゃいます!」
「判った、行ってくるわ!」
私は走って患者の下に向かった。門のところには男性が4人佇んでいた。その内の一人は何故か見覚えがあったが、話は後だ。
「…ぐっ、すまない、幸。…げほっ!!」
「…信玄様っ!しっかりして下さい!今、医者を呼びましたから!!」
あれは、吐血?!まずい!
「お待たせしました!ここの診療所の主です。患者を此方へ!」
赤を主体とした若い男性は私を見た途端に驚いた顔をした。
「…っ!お前はっ…。」
「…?何処かでお会いになられましたか?」
「…っいいや。すまねぇ…信玄様を頼む。」
「はい、お任せください。…お連れの方も、此方へどうぞ。」
そう言うと、二人は着いてきてくれた。