第17章 幼き日の思い出
「…この際、はっきりと申し上げます。…いつまでも、過去の事でぐちぐち言わないで下さい。男がなんとも情けない。それで、強くなったおつもりですか?私はずっと申し上げています。あなたをお助けしたかったと。それなのに、あなたは話も聞かずにずっと同じことを言い続けて…。いい加減、大人になって下さい!」
「はっ…?な、何言って…。」
「そもそも、何故あの様な野蛮な男達の言ったことを真に受けるのですか!あんな男達があなたに正直に話すとお思いですか?そんな事もわからないほどあなたの頭は子供なのですか?!」
私は啞然としてしまった。こんなにもズバズバと言う方だったなんて…。家康さんなんか図星過ぎて、時々呻いてます…。
「ゔっ…。それは…。」
「それから、あなたは性格がねじ曲がり過ぎです!昔は素直ないい子でしたのに、いつからそんなに根暗になってしまわれたのですか!陽はとても悲しゅうございます!」
「…そっ、それは関係ないだろ!」
完全に論破されてしまっています。家康さん、顔が真っ赤です。私は可笑しくてつい笑ってしまった。
「ふふっ…家康さん、まるで母親に叱られている子供みたいですね。」
そう言うと、家康さんは私を睨んでなんとかしろと目で訴えてきた。…此れはあなたの自業自得ですよ、私には関係ありませんから。そうして、陽のお説教は夕方まで続いてしまった。…もう、診療所にいけませんね。家康さんなんか魂が抜けかかっています。流石に可愛そうですかね。
「そもそも、家康様は…」
「陽、その辺にしてあげて。ふふっ、家康さんが疲れ切っているわ。」
私の言葉を聞いて、陽は家康をチラッと見たあと、外を見た。もう、夕暮れになってしまっている。
「あら、私ったら普段思っていることを全て吐き出そうとしたら、こんな時間になってしまいました。…蝶姫様、申し訳ありません。深く、お詫び申し上げます。」
陽は私に深く頭を下げた。
「ふふっ、いいのよ。私も思っていた事だし、言ってくれてスカッとしたわ。ありがとう、陽。」
「ふふっ、姫様が満足なされて良かったです。」
私達が笑い合っていると、下からうめき声のような声がした。
「…ちょっと、何二人で意気投合してるの。こっちはあんた等に付き合って、ヘトヘトなんだけど……。」
ぐったりと床に倒れている家康さんだった。