第17章 幼き日の思い出
カチャカチャ…
「おい…お前ら、本当に仲直りしたんだよな?」
政宗さんが怪訝そうな顔をしてこちらを見てくる。
「…まあ、一応。」
「…そうなんじゃない?」
私と、家康さんはボソっと呟いて返事をした。
バンっ!
「…だったらなんで、そんなに静かなんだよ!」
政宗さんが朝餉の乗った台を思いっきり叩いた。
「…こら!食事中に行儀が悪いぞ政宗!」
「しかしよぉ…秀吉。此れはいくらなんでも…。」
「…はぁ、今度は一体何をしたんだお前たち?」
秀吉さんは私と家康さんを交互に見つめた。
「…知りません、勝手に家康さんが激昂なされたので。」
「…それは本当か、家康?」
「……聞かないで。」
家康さんは喋ろうとせずにモクモクと食べている。
「…あのなぁ…言ってくれないと…。」
「…ご馳走さま。」
「っ…ちょっ、家康?!」
彼は食べ終わると直ぐに、大広間から出て行ってしまった。…結局聞けませんでしたか。私が溜息を付いていると、信長様が聞いてきた。
「クックックっ…しのぶ、貴様、今度は何をしたのだ?」
「私が原因みたいに言わないでください。…本当に分からないんです。陽の顔を見た途端に険しい顔になって…。」
その言葉を聞くと、信長様は少し目を見開いて、話しだした。
「…なるほど。…しかし、その話は俺から話すのは彼奴にとっても良く無いであろう。…陽、本人に聞いてみれば良い。それと、診療所が完成したそうだ。このあとに行ってみろ。…猿、護衛を何人か手配せよ。」
「…はっ!」
そう言って、朝餉の時間は終わり、部屋に戻ってきた。勿論、女中達も一緒に。
「…ねぇ、皆。お願いがあるんだけれどいい?」
「はい、何なりとお申し付けくださいませ。蝶姫様。」
そう言って彼女達は綺麗に礼をした。
「少しの間だけ、陽と二人きりにさせて欲しいの。…お願い。」
「………。畏まりました、蝶姫様。」
そう言って、陽を残し彼女達は襖を開けて出ていった。
「…蝶姫様、此れは一体?」
「陽、教えてほしいの。」
「………何を、で御座いますか?」
陽は私の目を見つめて、静かに聞いてきた。
「あなたと家康さんの関係を。…あなたはどうして、家康さんを見て、悲しそうな顔をしたの?」
私と陽の間に暫しの沈黙が漂った。