第16章 額に傷を負った僧侶
「…蜂に刺されて、およそ数分で意識が消失していて、脈がとても弱くなっていました。此れは、後半に話した、アナフィラキシーショックと言われる症状で患者本人の持つ、抗体が過剰に反応してしまい、自身の体を傷つけてしまうということです。此等、全般をアレルギーの症状といいます。抗体というのは、人間が元々生まれながらに持っているものであり、病気の原因の菌などから私達の体を守ってくれるものです。抗体は個人で人それぞれなんですよ?また、菌とは生物が持つ見えない生き物のことで、私達の体の皮膚にもいたり、食べ物の中にもいたりするんですよ。特に害悪な菌は口にしてしまうとお腹を壊してしまいますので要注意です。このことから、急いで処置をして、毒が抗体に反応しないようにする為に毒を抜かなければ、あの男性は恐らく亡くなっていたでしょう。」
「…なるほど、じゃあ血を抜くときにはどうやって抜いたの?注射器っていうのは薬を体内に入れるものじゃないの?」
「…いい質問ですね。本当は毒を抜く吸引機という私がかつて使っていたものが必要なのですが、それがない場合の応用で、注射器の空気を一旦全て出すんです。その状態で、患者に挿して引くと血が抜けるわけです。此れは、圧力の特性を使ったものです。…そもそも、圧力というのは…」
こうして、私は家康さんの疑問に思う部分を細かに解説して、実際に見てもらいながら教えた。特に、実際に、注射器を使ってもらうと目をキラキラさせていました。
…長い長い夜がすぎて、また朝が来る。
私はどうやら家康さんの私室で眠ってしまったらしい。起き上がって見ると、隣にはぐっすり寝ている家康さんが。…あれから一晩中話し続けて喉が、ガラガラです。ふふっ、寝ているときはこんなにも可愛いのに、どうして起きたらあんなに無愛想になるんでしょうか…?面白くて、彼の頬を突いていると、外が騒がしいことに気がついた。……?なんでしょうか?
「蝶姫様ー!何処にいらっしゃいますか〜!」
此れは、陽の声ですね。…まずいです、家康さんの部屋で夜を明かしてしまいました。困りました、変な誤解を招きそうです。私が静かにしてようと思ったとき、急に襖が開いた。………?!
「蝶姫様!何故こちらにいらっしゃるのですか?!…此方は家康様の……っ!」
陽に見つかったと思いきや、彼女は家康さんを見て、少し悲しそうな顔をした。