第16章 額に傷を負った僧侶
座ってしまったものは仕方が無いと思い私は食事に箸をすすめた。チラッと、家康さんの方を見ると、何故か真っ赤になっていた。…真っ赤?!
「…ちょっ、ちょっと!家康さん、あなたどれだけ唐辛子を入れてるんですか?!」
私の眼下には見ているだけで目が痛くなりそうな唐辛子の山があった。…ていうか、此れ料理の原型なくなってますよね?!
「……この方が美味しいし。」
「だからって、この量は幾ら何でも…。」
私が騒いでいると、食事をまだ運んでいた政宗さんは怒りながら近付いてきた。
「家康!お前、俺の作った料理の原型を無くすほど、唐辛子入れるんじゃねぇーっていつもの言ってるだろうが!」
…いつもこれなんですか。今朝、隣にいたのに気づきませんでしたよ。それより、イライラしてましたし。
「…それから、光秀!」
「ん…?今度は俺か?」
「お前、全部を混ぜて食うな!作った人の気持ちも考えろ!」
「…食べ物なんて、皆腹に入れば同じだろうに。」
「…お前なぁ…!」
光秀さんって食事にこだわらないタイプみたいですね。…あら、そういえば。
「秀吉さん、三成君って何処に居るんですか?」
私は向かいに居る秀吉さんに声を掛けた。すると、秀吉さんは思い出したかのように、ああ…!っと叫んで、大広間から出ていった。…何なんでしょうか?そして、少し経ったあと、手を引かれて来た三成君。…何か、秀吉さんやつれてません?
「クックックっ…また、書庫に籠もっていたのか、三成。」
信長様が愉快そうに笑った。秀吉さんは呆れているけれど。
「…三成、お前昼飯はちゃーんと食べたよな?」
…顔が少し怖いです、秀吉さん。
「…どうでしょうか?私、随分と熱心に本を読み漁ってしまいました。面白い、戦術の書がありまして…。」
「…お前なぁ…!いつも、いつも言ってるだろうが!ちゃんと、3食しっかり食べろって!」
此方もまた、騒ぎ始めましたね…。かなり、煩いです。…はぁ、でも、賑やかなのも悪くないかもしれませんね。
「ふふっ、騒がしい人達ですねぇ。」
私は、笑いが堪えきれなくて、つい口から漏れてしまった。
「…あのさ、昨日の夜の事なんだけど。」
「…はい?」
突然、家康さんに話を振られて、返答に時間が掛かってしまいました。…どうしたのでしょうか?
「…その、…っ…、ごめん。……言い過ぎだった。」
…驚きで、私はポカーンとしていた。