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戦乱の蝶姫

第12章  似たもの同士


「ゔぇぇぇ…ありがとぉ。グスっ…お姉ちゃん!」
女の子は漸く笑ってくれました、何よりです。さて、この人を家に送り届けないと。…何やら騒がしいですね。周りを見てみると、更に人が沢山集まって来ていた。…何なんでしょうか、これ?

「なんだ、何が起こったんだ?」
「ああ、実はそこにいるお嬢さんが家康様と一緒にその倒れている男を助けたんだよ!」
「…それ、本当か?」
「ああ、間違いない!俺はこの目で見たぞ!蜂に刺されたって聞いた瞬間、直ぐに処置をしたんだ。…本当に、目にも止まらぬ早さで、あっという間に終わっちまった。…まるで、夢を見ているような気分だったよ。」
「へぇ…あんなに若い娘が凄いじゃないか!」
「…あれ?あの娘、昨日信長様と一緒の馬に乗っているのを見たぞ!」
「…えっ、じゃあ、位の高い人って訳かい?あたし、失礼なことを言っちまったよ!」

…変な噂が流れそうですね。政宗さんの時みたいにならない様に気をつけないと。そう思って、家康さんを見ると、何かを考え込んだ様子だった。…何なんですか、急に。そして、突然立ち上がったかと思うと私にも立つように小声で言ってきた。………?
「……ここに集まっている人たちだけでいいから聞いて。この横たわっている男は、此方におわす、織田家ゆかりの姫がお救いになった。…我らの姫は医術に長けておられる。姫は城下に診療所を開くと仰った。そして、医術を民に施したいと仰っている。……お館様はこの意見に賛同されておられる。…意味は分かるね?」
わァァァァァ!!!
突然の大歓声に私は目を点にした。…なんですかこの騒ぎは!
「…お姉ちゃん、お姫様なの?」
「えっ…、まあ、そうですけれど。」
…もう、家康さんが変な事言うから、面倒くさい事になっちゃったじゃないですか!
「という事は、姫様自ら、あたし等に医術を施してくれるってことかい?!」
「すげぇー、俺長年生きてきて初めてだよこんな事!」
「ありがたやぁ…。」
「流石、安土の姫様だな!蝶の様に美しいと思いきや、医術にも優れておられるなんて…。」
「まさしく、薬姫様ね!」
「ああ、本当に!!」
私は理解が追い付かず何故か雄弁と語っている彼を見た。
「なんでこんな事言ったんですか?!」
「…こう言えば今後の宣伝になるし、最悪の事も考えて対策出来る。……本能寺の放火の犯人が次に狙うとしたらあんただから。」



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