第12章 似たもの同士
私は急いで巾着にしまっていた薬剤の調合器具を取り出した。まずいです、時間がない!
「…手伝えることは。」
「家康さん…。分かりました、男性の左手首の部分を固定させてください。今から、注射器を使って毒を抜きます。」
「…分かった。」
そう言って彼は左手首の部分が見えるように固定した。その間に私は急いで、注射器を用意する。
「…いけますか?」
「…うん、ちゃんと抑えてるから。」
「…それじゃあ、始めます。」
私は血管の流れを確認し、注射器を打った。それは、薬を打つためではなく、毒を体内から出すため。
「ぐっ………。」
男性が辛そうな表情をする。
「…どれくらい血を抜くの?」
「…せめてこの注射器一本分位は抜かないと、毒が抜けきれません。」
あとちょっと………もう少し………良し!!
私は注射器を抜いた。
「ふぅ…もう大丈夫です、注射器で毒を吸い取りましたから。家康さん、ありがとうございます。もう離して結構ですよ。」
「…次はどうするの?」
「…次は此方のドクダミ、別名ジュウヤクを使います。このドクダミは蜂、アブ、蚊など虫さされに効果があるんですよ。此れをすり潰して、塗っておけば大丈夫です。」
私は、ドクダミを乳鉢に入れて、乳棒ですり潰した。後は、何か清潔な布はないでしょうか…。
「…此れを、使ってください。」
何処からか、声が聞こえ、振り向くとそこにはメガネを掛けた青年がいた。ていうか、なんでこれを持って…。考えるのは後です!今は、この方に集中しないと!
「すみません、ありがとうございます!」
私は彼の持っていた、この時代ではありえない医療用の布(現在で言うところのガーゼです。)にすり潰したドクダミを塗って、男性の左手首のところに当てた。そして、少女に許可を貰って布を貰い、細くちぎって紐状にしたあと、それを幹部を固定して、縛るために使った。…ある程度、処置が終わったところでやっと一息ついた。
「ふぅ…何とか終わりました。」
立ち上がると女の子か飛びついてきた。
「お姉ちゃん!お父さんは大丈夫なの?!」
私は彼女にニッコリと笑った。
「ええ、大丈夫ですよ、心配入りません。ですが、毒を抜くために血を沢山抜いてしまったので、お父さんにほうれん草や枝豆を沢山食べさせてあげて下さい。手っ取り早く、血を増加出来る食べ物ですよ。」