第12章 似たもの同士
私は家康さんと、顔を見合わせ急いでその場所に向かった。すると、人が集まっているのが見えた。その間で、男性が倒れていて、女の子が泣きながら男性を揺すっているのが見える。
「お父さん!お父さん!起きてよ!ねぇ、目を開けてよ!!」
見物客が邪魔で近寄れません…。どうしましょうか。
困っていると、家康さんが前に出て、見物客に向かっていった。
「ちょっと、退いてよ。…通れないんだけど。」
「はぁ…?なんだおま、え…いい、い、家康様?!」
驚いたような顔をして見物客の一人が叫んだ。すると、周りの人も驚いて此方を見てくる。
「…早くどいて、患者が見れない。」
「はっは、はい!」
すると即座に道が出来て彼はすんなりとそこを通って行った。…ちょっと、置いてかないで下さいよ!私も急いで、彼の後を追った。
「お父さん!お父さん!」
「ねぇ、そこのあんた。」
「…ふぇ…な、なんですか?」
「何でこの人倒れたの?」
「えっ、えっと……。」
私はまずいと思って、急いで彼らの下に駆け寄った。
「家康さん、子供相手にその話し方は駄目ですよ!」
「…何、悪い?」
「はい、この子が怯えてます。」
「……じゃあ、あんたが聞いてよ。」
素直じゃないですねぇ…。……取り敢えず、彼女に話を聞かなければ、分かりません。
「こんにちは、可愛いお嬢さん。あなたは、何故こんな所で泣いているのですか?」
私は微笑んで彼女を見た。どうやら、彼女も安心したように話しだした。
「お父さんが、今朝畑仕事が終わったから午後に城下に連れて行ってやるって言ってくれたの。…最初は楽しかったのに、突然お父さん苦しみだして…。」
「…なるほど、他に変わった点はありませんでしたか?例えば、体が熱かったとか…。」
「…そういえば、畑仕事が終わって帰ってきたときにはなかったのに、倒れたとき赤いものが左手首に見えたよ。」
…赤いもの?不思議に思って男性の左手首を見ようとする前に家康さんはもう確認していました。
「…家康さん、どうですか?」
「…異様に赤く腫れてる、左手首を中心に。」
赤く腫れているですか…。他に情報は…。
「お嬢さん、他に気になることはありませんか?何でもいいんです。」
「……えっと、あっ!そういえば、お父さんがさっき蜂に刺されたって言ってた!」
っ…この方は蜂に刺されたんですか!?まずい、急がないと!!