第4章 毒の刃
「…っえ?お気持ちは嬉しいですけれど、見ず知らずの方にそこまでして頂くのは…。」
「いいえ、行きます。このまま放って置いてもあなたはどうせ、そのお館様とやらを助けに行くのでしょう?傷だらけのあなたに何ができるって言うんですか。そんなことなら、私が行きます。」
正直、気は乗りませんが助けた少年が炭になってしまったら、私が助けた意味がありませんし、仕方なくですよ。仕方なく!
「…ぐっ、ありがとうございます!!」
そのまま、泣き始める少年を宥め、場所を聞いた。どうやら、寺の鐘がある場所より奥にある建物の最上階に一人でいるみたいですね。…なんで、わざわざそんな所にいるんです?敵に討ってくれと言っているようなものでは?……取り敢えず、余計な考えは後にしましょう。今は、一刻も早く【お館様】を助け出さないといけませんからね!私は、近くの木の枝に飛び乗り、そのまま教えてくれた場所へと木の枝を飛び移りながら進んでいった。
……ゴォォォ……ゴォォォォ
っ、さっきよりもひどくなってますね…。急がなくては、えっと…。鐘の奥の…っ!あれでしょうか?丁度視線の先に見える、一番高い建物。彼処にいるんですね!私は、足に力を入れ、呼吸法で一気にその建物まで飛んだ。窓が無い分、侵入も楽です!あっ!決して不法侵入ではありませんよ、人助けですから!
ズガァァっ!
勢い良く空いていた所から突入したので、床が抉れてしまいました。危うく、踏抜くとこでした…。さて、一体どこに…っ!
燃え盛る中で兵士の方…でしょうか?その方が、柱にもたれかかって寝ている男性に切りかかろうとしています!まずい!
「…の…がっ、死ねぇぇええ!」
刀が男性に向かって振られるっ、間に合って!
ガキィィィン!!
急いで抜刀した、日輪刀で何とか防げました…。危なかったです。しかし、どうしましょう…。私は人間を切る趣味は無いのですが………。
「…、っなんだ?貴様ら…?」
…っ!男性の方は目が覚めたみたいですね。仕方ないです。残念ですが、この兵士の方には眠ってもらいましょうか…。
「……っ!!邪魔を…するなぁぁぁ!!」
「ごめんなさいね。」
ざしゅっっ!
「ぐぁぁぁぁぁあ!!!」
呼吸の型は使っていないのでそれほど深手ではないと思いますがドクゼリの毒を使わせて頂きました。少量ですが、めまいと嘔吐、最悪、呼吸困難で死にますよ?