第12章 似たもの同士
私はからかうように彼を見た。
「おっ…さては疑ってるな?」
ニヤニヤとした顔をして私の顔を覗き込んできた、政宗さん。…さっきから、腹が立ちますねその顔…。
「…別に、ただ意外ですねと言っただけです。」
…伊達政宗って確か料理得意でしたっけ?あんまり覚えていないですけれど、だって私は理系ですし。
「ふ〜ん、まあ、家康と何かあったのかは知らないけどさ、美味しいもん食ってるときくらい笑おうぜ。」
そう言って、彼は私の頭を撫でた。
「自分で美味しいってよく言えますね…。」
少し、呆れ顔を彼に向ける。
「…?美味しくねぇーのか?」
「………美味しいですけれど…。」
「なら、少しは笑って食え。そうしたら、今度お前の好きなもん作ってやるよ。」
そう言って、彼は私に笑い掛けた。
「………ふふっ、分かりました。その口車に乗って差し上げます。……好物の件、忘れないでくださいね?」
私は彼に笑い掛けた。すると、政宗さんは嬉しそうに言った。
「おう、もちろんだ!ちなみに、何が好きなんだ?…甘味か?」
「女の子が皆甘い物が好きだと思ったら大間違いですよ。…生姜の佃煮、作って下さいますか?」
彼は驚いたような顔をしたあと、嬉しそうに答えた。
「へぇ…珍しい物が好きなんだな。いいぜ、作ってやるよ。」
「ふふっ…はい、お願いしますね。」
彼と談笑していたので、皆さんの視線が私達に集中している事に気づかなかった。
「しのぶ様、その様に笑われるととても美しいですね。」
三成君に突然褒められて彼の方を向くと、皆さん此方に向いてます。……家康さん以外ですけれど。
「ふふっ、ありがとうございます三成君。ところで、皆さんは何故此方を向いていらっしゃるので?」
不思議に思い、信長様の方を向く。
「いや、貴様がその様に楽しそうに笑うところを初めて見たのでな。…クックックっ、少し驚いておった。」
「…そうですね、お館様。しのぶ、つんつんしてないで、いつもそんなふうに笑えばいいじゃないか。」
秀吉さんは私の方を見て、少し楽しそうに笑った。…私、この人の笑った顔初めて見たかもしれません。
「あら、普段の私は皆さんにどう映っているのですか?」
「……(ボソッ)胡散臭い笑い方をする女。」
「……はい?(ニコっ)」
私は隣に座っている人に黒い笑みを向けた。
「……何ですか、家康さん?」
「…別に、何も言ってない。」