第12章 似たもの同士
「はっ…申し訳ありませんお館様。」
そう言って、秀吉さんは元の席に戻っていった。さて漸く食べれますね。大広間には朝餉が人数分置いてあります。これって席は決まっているのでしょうか?
私が不思議そうな顔をしていると、陽が近寄ってきた。
「しのぶ様、お席は何処でも空いているところにどうぞ。」
あっ、早いものがちなんですね。信長様は違うみたいですけれど…。一人だけ一番奥の、真ん中に朝餉が有れば嫌でも誰の場所か分かりますね…。
「…ありがとう、陽。」
「いえ、では失礼致します。」
そう言って、大広間の外に陽は出ていった。
「へぇ…あいつと仲良くなったんだ、意外だな。俺等には、さん付けで敬語なのに、あいつには名前呼びで、普通に話すのかよ…。ふぅ〜ん…。」
政宗さんは拗ねて、此方を見た。別に、拗ねても大人ですから可愛くないですよ?ただ、ムカつくだけです。
「少し、仲良くなったので…。さあ、そんな事言ってないで、席に座りますよ。」
「へ〜い…。」
私は空いている席に座わろうと思い、席の隣の方に挨拶しようとした。
「おはようござ……い、ます…。」
何で隣の方を確認しなかったのでしょうか…私!!
「……おはよ。」
「おう、おはよ、家康!お前、朝は本当に覇気が無いなぁ…。」
よりにもよって、家康さんの隣ですか!私は助けを求めるように、政宗さんを見た。すると、政宗さんは、何かを察して此方に寄ってきた。
「(ボソっ)…なんだ、家康と喧嘩でもしたのか?」
「(ボソっ)…いえ、そうではないですけれど…。」
少し後ろめたい気持ちになり、そっぽを向いた。すると、政宗さんは何かを思い付いた表情になった。
「(ボソっ)へぇ…なるほどなぁ…。」
「(ボソっ)……何ですか、その顔は。」
彼は何か納得したような表情になった。
「…ほら、つべこべ言わずにとっとと座れよ、蝶姫様!」
「はっ?ちょっ、まっ…!」
そうして、家康さんの隣に座らせられた私は、彼と何を話して良いのか分らず、無言の状態で朝餉を食べていた。……許しませんよ、政宗さん!私は効果音が付きそうなくらい、ちょうど隣に座って食べている彼を睨んだ。
「そんな、仏頂面して飯食ってんじゃねぇーよ、しのぶ。俺が作ってやったんだ、味わって食えよ?」
…此れを作った?この、如何にもちゃらんぽらんな人が?
「へぇ、意外です…料理できるんですねぇ…。」