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戦乱の蝶姫

第11章  蝶姫またの名を薬姫


「それにしても、診療所はどうするのですか?経費などは…。」
「…それは、心配は要らん。俺を誰だと思っておる。」
……そういえば、此処にこの土地の領主様がいらっしゃいましたね。ふふっ、子供っぽい人ですけれど一応領主でしたね。…私がクスッと笑っていると、信長様は不機嫌な顔をした。
「…だが、しのぶ。貴様、夜に褥を温めに来いと言った俺を差し置いて他の男の下へ行くとは、どうやら随分と仕置きをされたいらしいな。」
……ああ、でもあれって要は信長様を楽しませればいいってことですよね?
「そうなっちゃいますねぇ…。ふふっ、すみません信長様、子守唄は当分先になりそうです。」
私は笑顔で信長様に向かって言った。
「…ふっ。忘れるなよ、しのぶ。俺は、欲しいものは必ず手に入れる。」
信長様は少し口元を上げて微笑まれた。…しかたがないですねぇ。
「ふふっ、は〜い。…覚えていたらいいですねぇ。」
さて、本題です。診療所を建てることが許されたので何処に建てるかですね。
「…診療所は何処に建てればいいのでしょうか?」
私が悩んでいると、三成君が何かを持って近寄ってきた。
「しのぶ様、此方をどうぞ。」
「………此れは、何ですか?」
「此方は、安土の城下の地図です。場所を決める際にお役立てください。」
なんともまあ、気が効きますね!うちの蝶屋敷に欲しかった位ですよ。
「ありがとうございます。とても、助かります。」
「いいえ、とんでも御座いません。お役に立てて何よりです。」
………ゔっ、純粋な三成君が眩しすぎて直視できません。…取り敢えず、何処か決めませんと。そう思い、私は地図を床に広げた。すると、会話に参加していなかった皆さんも、集まって来た。

「…此処はどうでしょうか?」
「…いや、此処は人通りが少ない。もっと別の場所の方がいい。」
「………では此方は?」
「……此処だと城から離れすぎている、変な輩が彷徨いているからやめるべきだ。」
「…………此処でも駄目ですか?」
「……此処は川がとても近い。大雨で川の氾濫があった場合に対処が間に合わないかもしれない。」
…私はジト目で秀吉さんを見つめる。
「…………秀吉さん、失礼ですが、なぜそんなに詳しいのですか?」
私の言葉を聞いた途端に、彼は言葉を濁した。
「えっ…………そ、それは…。」

…………変な汗出てますけれど、大丈夫ですか?






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