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戦乱の蝶姫

第11章  蝶姫またの名を薬姫


「…死んだ?ではなぜ、しのぶ様は生きていらっしゃるのですか?」
三成君の顔がいかにも不思議で仕方ないという顔になっていますね。
「…それが、私にもよくわからないのです。気が付いたら、本能寺のある森に飛ばされていたので…。でも、私があの時負けた理由は分かります。それは、私の呼吸法がその鬼を殺すに足りえなかったからです。」
「…呼吸法って何?」
家康さんがいい質問をしてくれました。流石、普段ツンツンしているだけあって、随分と的確な質問です。
「…呼吸法は鬼殺隊にとっての生命線と言っても過言ではないでしょう。それは、鬼殺隊に入るために身に着けなければいけないものであり、それを会得するには数年はかかります。私の場合は才能が無かったので、時間が掛かってしまいましたが。…呼吸法を身につけることで、肺が膨張し体の機能を高め、普通の人間の限界活動時間を超えることができます。よって、人間離れした跳躍などもできるわけです。また、呼吸には型というものがありまして、それぞれその型を教えてくれる育手の方に教えを請わなければいけません。呼吸には炎、水、風、雷、岩の呼吸があります。私の場合は蟲の呼吸ですが元は水の呼吸であり、その呼吸の派生です。蟲の呼吸は私、独自のものです。」
「…つまり、しのぶは新しい型ってやつを作ったんだろ?すげぇーじゃねぇか!」
政宗さんが目をキラキラさせて嬉しそうに話す。
「…はい、でも先程お話したように、私は鬼の首が切れないので、鬼に毒を撃つ型しか作ることができなかった。ですから、私の型には切るという動作がありません。……それは、とても致命的なものでした。…だから、あの男に負けたっ…。」
私はあの時の、この世で最も嫌いな男の顔を思い出しながら、ギリッと歯を食いしばった。
「…なるほどな。だから、食われたという訳か。そして、いつの間にかこの場所に来てしまったと。……この話を信じろという訳か。」
信長様の値踏みするかのような視線が私を貫く。
「……ええ、お話は此れで以上になります。」
「…………。」
暫しの沈黙が漂う部屋……皆さん、信長様の判決待ちですかね?

「…今の話だけでは到底信じられるものではない。何か証拠となるものは無いのか?」
……困りましたね…。何かあったでしょうか…っあ!
「…証拠となるかは分かりませんが、此方をどうぞ。」







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