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戦乱の蝶姫

第10章  安土の蝶姫


「…それはどうしてですか、光秀さん?」
ニッコリと彼に微笑みを向けた。
「…鬼に使うならば、恐らく少しの間、時間が掛かるのだろう。…だが、人に使うならばどうだ?何度も再生する化け物でさえ殺してしまうのだ。……恐らく、一瞬で死ぬだろうな。」
不敵な笑みを見せながら、私に鋭い視線を向けてきた。
「…なるほど。あなたは、私がこの毒を人間相手に使うと?」
「ああ、…無いとは言い切れないだろう?」
「………時と場合によりますね。(ニコっ)」
視線から、火花が出そうな勢いで睨み合いが始まった。
「…そういえば、貴様に初めて会った時に、貴様に切られた相手が異様に苦しんでいたが、あれは毒か?」
……、変な処で感が鋭いのですね、信長様。黙っていてくれれば良かったのに。……私はため息をついて、また話しだした。
「…あの時は、一刻を争う状態でしたので、致し方なくです。もし、私が刀を抜いていなかったら、信長様は今ここにいないかもしれませんよ?……それに、そもそも、日輪刀は鬼を切るための刀ですから。」
沈黙がまた室内を満たす。
「…この話は、保留としよう。このままでは、埒が明かない。」
信長様の鶴の一声でまた話が戻った。……いちいち、脱線されては困るのですが。
「…では、続きから。私は、隊内で唯一鬼の首が切れない剣士と申しましたが、鬼を殺せる毒を作ったこと、それを扱えるほどの強さを持つことが認められたので、柱になることができたのです。……(ボソッ)私では姉の足元にも及ばないけれど。」
「…何か言ったか?」
秀吉さんの不思議そうな視線が、私を見つめる。
「…、ふふっ、何でもありませんよ。」
私はまた、笑顔を貼り付けた。
「………………。」
ある人物が私を見つめているのも知らずに。
「…私達、鬼殺隊は鬼だけではなく、鬼の始祖である、鬼舞辻無惨。そいつを、殺すためだけに作られた組織です。そして私達の代でようやく尻尾を掴み、私達は奴を殺す為、最終決戦に向かいました。…その戦いの中で、奴の直属の部下である、十二鬼月、その中には上弦と下弦と呼ばれる鬼がいて、特に上弦の鬼は柱を殺し、何百年も生き残っているとても強い鬼でした。…私は、其処で上弦の弐…つまり、奴直属の部下の中で2番目に強い鬼と戦い……敗れました。……そして、食い殺された。…………………………………私は、一度死んでいるんです。」


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