第25章 血に抗え
「…謙信様、どうどう。…行きますよ。」
佐助君が謙信様に話した。それを聞いた謙信様は舌打ちしながらもを冬に向かって走り出す。
ダッダッダ…バッ!
謙信様が暴れ続けている冬に向かって、鋭く刀を振り下ろした。
「…っ!」
ヒュっ…すたっ!
それを察知した冬は間一髪の所で避け、バク転をしながらも謙信様を見据えて、ニヤリと笑った。
「…ちっ…外したか…。やるな、小娘…。」
舌打ちをしながらも謙信様は冬から目を離さずに、冬の出方を観察していた。私はその空きに佐助君と家康さんと走り出し、彼女の死覚に周る。
「…謙信様が冬さんを抑えてくれています。今のうちです!…しのぶさん準備はいいかい?家康さん、手伝って下さい!」
佐助君が私と家康さんの方を向いて叫んだ。私は深く頷くと、家康さんは私を俵抱きをして助走をつけて走り出す。
ザッザッザッ…ダッ……!
「…っいけ!!」
そうして、指定の位置に付くと、私を思いっきり冬の方に投げた。
ブンっ……ビュォォォ!
「…っ冬!!!!」
私は上空を飛びながらも、彼女の名前を呼んだ。そのことにより、光の消えていた彼女の目に再び光が戻る。
「……?…お、ねえ、さま…?」
彼女と目が合い、私は拳を握り締めた。そして、風を斬り、私の拳が彼女の頭上をめがけていく。
ゴォォォォ…!!
「…はぁぁぁ!!」
ゴンっっ…!!
「…っ…!!!…がはっ…!」
私の拳は冬の頭上に降りかかり、冬はその瞬間にふらついた。しかし、流石は鋼牙此れだけでは中々倒れない。そこで、最後を決めるのは…。
「…冬さん、悪いけれど眠ってくれ。」
トンっ…!
「…っ?!………。」
ドサッ…!!!
冬の背後に現れた、佐助君の手刀によって漸く、意識を手放した冬。その光景に辺りは騒然となったが、漸く冬が収まった事により、相手側は有利だと感じて、此方に向かって進軍し始めた。…私は、久しぶりに呼吸を行使し過ぎて動けなくなっていた。
「…諦めるのはまだ早いぞ、貴様ら。」
ふと、背後から聞き慣れた声がしたので振り返る。
「…待たせたな、しのぶ、家康。良くここまで持ち堪えてくれた。…大儀であった。」
それは嘗て、私に天下人の女になれと言ってきた人だった。
「…信長様っ…!!」
「…朝倉は仕留めて来た。…残りはこやつらだ。」