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戦乱の蝶姫

第24章  鋼牙の本能


「それにしても、随分と優勢になりましたね。さっきはどうなるかと思いました。」

私が微笑みながら言うと兵士の方々も賛同してくれた。

「まさか軍神がこちら側についてくださるとは思ってもいませんでした。姫様が安土に居られてから本当にいいことづくめです。」

ある一人の兵士の方が嬉しそうに此方を向いて話した。それに答えるように私も彼の方を向く。

「ふふっ…そんなに褒めないでくださいな。…それに、まだ決着はついていません。戦いとは如何なる時も相手に空きを見せてはいけませんよ。」

私が微笑みながら言うと、彼も近くにいた方々も元気よく返事をした。…さて、もうそろそろ頃合いだろうと思って私は残りの簡易な手当を他の人に任せ、謙信様率いる上杉軍に加勢するために城門前に向かう。

タッタッ…タッ…!

なるべく早く行くために、呼吸を使って塀を飛び越え、移動速度を上げた。上から見ていると、優勢だが相手の指揮系統が上手く崩せないように見えた。私はそこを崩すために、呼吸を使って一泡吹かせようと謙信様と冬の近くに着地しようとした。

ビュンっ…!!ジャリっ…!

「…っ!!」

突然横から矢が飛んできて何事かと、矢が向かってきた方向を辿る。そこには、何人かの弓を構えて此方に向けて撃とうとしている人達がいた。私は即座に方向転換をして、矢が当たるのを避けた。近くの塀に隠れて、その場を凌ごうとするがやはり位置はバレているみたいで、あちらは矢を構えている。どうすればいいのか私は打開策を練っていた。…その時だった。

「…矢を放て!!!」

「…っ!」

ビュン…ビュン…ビュン…!!

敵の放った矢が一斉に此方に頭上から振りかかってきた。流石にまずいと思い回避しようとした時だった。

ヒュンっ…バキッ!!

私の前に人影が現れ、向かってくる矢を全て叩き斬った。その後ろ姿は黄色の武装をして、色素の薄い髪の毛をしたあの人だった。

「…遅いですよ。どれだけ待ったと思っているんですか。」

私の声を聞いて、彼は振り向いた。

「…ごめん、遅くなった。」

振り向いた彼は申し訳なさそうな顔をしながらも、私をしっかりと見つめる。

「…家康さん、待ってましたよ。あとは任せてもいいんですよね?」

「…うん、そのために戻ってきたんだから。…それと…」

彼は私の腕を掴んで引っ張った。

「…っえ?」




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