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戦乱の蝶姫

第8章  忠臣と同盟国の領主


「あれ、本気だったんですね…。」
「当たり前だ、俺は自分の言ったことに嘘はつかない。さて、しのぶ…。」
突然、声が途切れたかと思うと、信長様は私の顎に手を当てて、いわゆる顎くいとやらをしてきた。まあ、普通の女性ならイケメンにこんなことをされて喜ぶんでしょうけれど…。生憎私はそういうことはもう十分なので。信長様の瞳を見つめ、冷めたような顔をした私は信長様の手を払って彼の目をまっすぐ見つめた。
「…っ!」
「…っふふふ、驚きました?私って、安い女ではないんですよ?」
彼の唇に人差し指を指して片目を瞑りながら彼を見つめる。すると、信長様はポカーンとした顔から、面白い玩具を見つけた顔になった。
「クックックっ…それでこそ俺が見初めた女だ。しのぶ、安土に帰るまで俺を楽しませろ。そして、安土に帰ってからもだ。夜に褥を温めに来い。」
信長様は愉快そうに唇に当てていた私の人差し指を掴み、舌でペロッと舐める。…本当にイケメンがやるから様になりますけれど、イケメンじゃなかったら、即通報ものですよ此れ!…本当に、困った人。…子供みたいな人。

「クスッ…いやですよ、信長様。私はあなたのことが苦手です。でも、寝る前の子守唄位なら、歌えるかもしれませんよ?」
お世話してあげますか。かつての場所でも大きな子供みたいな人の世話をしていましたからね。

「おっ、帰ってからもう夜伽かよ…。熱いねぇ…。」
やっぱり茶化してきましたか、政宗さんっ…!
「茶化すな、政宗。信長様はお考えがあってあの様なことを言っているのだ。決して、しのぶだからでは無い。」
本当に失礼な方ですね、秀吉さん…。私、あの人と仲良くなれる気がしないのですが…。
「…っの、信長様!で、でっ出会ったばかりの女性にそ、そっそんなことをしてはいけません!」
純粋ですね、炭明君…。君は本当にそのままでいてください。…間違っても冨岡さんみたいに無口にならないように!それにしても…

「あらあらぁ、随分な言い草ですね?秀吉さん?」
私は、ニッコリと笑顔を浮かべて、彼の方を見た。随分とひどい言われようだ。
「気にするな。本当のことを言ったまでだ。」
「本当に、尺に触る言い方しかできないんですか、あなたは。」
「それは、お互い様だろう…しのぶ。」
彼は不敵な笑みを浮かべて私の顔を見た。まあ、それを言われてしまえば何も言えないのですが。

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