第23章 銀の祝福
「…政宗さん、いい加減機嫌直してください。今回は、先陣切っていいですから。」
私は、イライラしている家康さんを宥めるためと政宗さんをやる気にさせるため、提案を出した。
「…おっ、本当か?!……よし、やってやるよ!」
案の定やる気を出した政宗さんを見て、家康さんの方を見ると納得がいかなそうな顔をしていた。
「…でもそれって、攻めるってことでしょ?今回は防衛戦なんだから…。」
「ふふっ…敵陣に突っ込む訳ではありませんよ?私達四人を二組に分けましょう。…名付けて戦術的分断です。」
「はぁ?それってどういう………、まさか…っ!」
家康さんは怪訝な顔をしたあとに私の考えがわかったみたいで焦り始めた。
「…はい、家康さんの予想どおりです。前衛組と後衛組に別れましょう。…ふふっ…前衛は勿論、男性お二人で。」
私がニコニコ笑って言うと、一人はがっくりと肩を落とし、残りの二人はキラキラと目を輝かせた。
「…つまり、俺に政宗さんの尻拭いをまたしろってこと?…はぁ。」
「…いい案だな、それ!俺は賛成だぜ!!」
「流石はお姉様!冬は感服致しました!!」
このような感じで話は進んでいった。今回は医療に優れた人が信長様のところと比べて此方に偏ってしまっている。それは信長様のあちらの戦いをなるべく早く終わらせるという意思表示でもある。その意を汲み取って、この防衛戦では連れてきた兵の数は今回準備して来た織田軍三分の二である、十万人で守りを完全に固めて、此方に攻めてくる敵をなぎ払わなければいけない。一応、私は織田軍の主力として入っているみたいだが、私の剣術は対多数に弱い。なので、後衛で守りを完全に固める事にした。その代わり、私が捌ききれない分は冬に相手をしてもらう事になる。守りには一万人いれば良いほうだろう。残りの九万人には攻めと守りを両方やってもらうことになる。そこで鍵となるのは、政宗さんと家康さんだ。政宗さんには先陣を切ってもらい、抑止力として家康さんにも同行してもらう事にした。本人は物凄く嫌がっていたけれど…。そんなこんなで、こちらの準備は整った。いよいよ、開戦だ。私は個人では無く、ここまで多くの人たちで団体戦をすることが初めてなので柄にもなく緊張してしまった。そんなときに、冬が私を気遣ってお茶を淹れてくれたので有り難く頂くことにした。…長い戦いは始まったばかりだ。