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戦乱の蝶姫

第23章  銀の祝福


「お姉様、お疲れではありませんか?少し休まれますか?」

「……、いえ…大丈夫よ。先を急ぎましょう。」

「分かりました!」
 
このやり取りから見て分かるように、私は冬に完全にお姉様呼びを定着されてしまった。…後ろから家康さんと政宗さんが笑いを堪えているのを見ると無性に殴りたくなる。それは兎も角として、私達一行は大名達との戦いの場所に移動している最中だ。冬はさっきからずっと私の方ばかりを見てくるので余所見をしていて、何処かに行ってしまわないか心配だが、しっかり者の彼女ことだ。大事には至らないだろう。そのように考えて移動していると、山の上の方からチラリと見える城が現れた。

「おっ…!見えてきたぜ!彼処が今回の拠点になる、岐阜城だ。」

政宗さんが言った通り、此れはかつて稲葉山城と呼ばれていた、「斎藤道三」(さいとうどうさん)の居城だ。しかし、1567年(永禄10年)に織田信長が攻め落として手中にすると、「岐阜城」と改名したはず。金華山の山頂に位置する岐阜城は、難攻不落の城として高い防衛力を発揮。この城で織田信長は、「楽市楽座」や「兵農分離」などの様々な政策を進めていく。天下布武の印章を考案したのもこの城だ。さて、長い説明をした所で今回はこの城を拠点として動くらしい。一応攻め落とした城なので、何人かの役人はいるみたいだった。安土の者として通され、城の中に入るとやはり山頂にあるだけあって景色がとても素晴らしかった。しかし、景色を楽しんでいる余裕はなく、戦の準備と家康さんと共に必要になる薬の最終確認をした。今回のこちらの組の役割は防衛なので、責めずに守りに徹する事が重要になってくる。何せ、信長様の組と違い、此方は多数の大名達相手なので全ては手がつけられない。なので信長様があちらで朝倉を倒してから、こちらに来る事で攻めに行くことができるというわけだ。勿論その案に反対した人がいる。それは政宗さんだった。

「…ああー、暴れてぇなぁ…。防衛戦っていまいち戦う気がしねぇ…。」

政宗さんが冬を含める私達で大広間にて会議をしているときに呟いた。

「…はあ、軍議で決まったことだからちゃんと真面目にやってください。また、前みたいに敵陣に突っ込まないでくださいよ?」

家康さんが溜息をつきながら政宗さんに向かって言った。その態度は完全に呆れていた。

「…ああ…やる気でねぇ…。」

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