第23章 銀の祝福
「ていうか、冬。お前性格変わり過ぎじゃねぇーか?」
その政宗さんの一言に皆さんが押し黙った。皆さんも納得しているらしく、彼女の冬の豹変に困惑しているみたいだった。…私も驚きだが。まさか、あんなに従順な性格になるなんて、なんか考え込んでいるなーって思っていたので話してみたら、別人になりましたって、意味が分からない。
「…すみません、政宗様にもご迷惑をお掛けしました。深くお詫び申し上げます。皆様にもお詫び申し上げます。」
彼女は丁寧に頭を下げた。それに驚いて兵の方々が頭を上げて下さいと言っているが冬は頭を上げない。かなり頑固だ。
「…私は自分の存在が許せませんでした。自分だけが生き残っている事実が許せなかったんです。弱い自分が許せなくて、こんな自分なんていらないと思っていました。でも、そんな私を十分だと認めてくれたしのぶ様に少しでも恩を返したいんです。ですから、此れから宜しくお願いします。」
彼女は真っ直ぐに政宗さんを見た。その瞳には迷いがなかった。
「…そうか、ならいいや。…それと、俺との手合わせ忘れるなよ?」
政宗さんがニッコリと笑いながら話した。それを見た冬は、笑顔で応えた。
「…本気でやっていいんですか?直ぐに、終わるかもしれませんよ?」
「おっ…舐めてるな?いいぜ、男が女に負けるわけにはいかねぇ。勿論、全力だ。」
何故か、バチバチと火花が散っている彼らを呆れてみていると、それに気づいた冬が私の下にやって来た。
「しのぶ様!もう一つ、お願いがあるのですが…。」
モジモジしながら私に話しかけた冬に笑顔を向けた。
「ふふっ…なにかしら?」
「あ、あっの…お、おっ…お姉様とお呼びしても宜しいでしょうか?!」
「…えっ?」
私はその言葉に思考が停止した。お姉様?おねえさま?お、ね、え、さ、ま?…えっ?何で?どうしてその様になったの?私が困惑していると隣から笑い声が聞こえた。
「クックックっ…お姉様って…。似合いすぎて、腹いてぇ…!」
政宗さんが爆笑しているので、必殺のつんつん攻撃でその腹にトドメを刺してやろうと思ったら、反対側でも笑い声がかすかに聞こえた。
「くっ…いいんじゃない?…ふっ…ふ…似合ってるじゃんあんたに…。」
その笑い声を今すぐ止めてやりましょうか?…だが、私はキラキラした彼女の目を見て心苦しく思い許可してしまった。