第22章 和解と始動
「ぎゃぁぁぁぁ!!たすけてくれ!!」
ゴゥゥゥゥ…!!…チャリっ…
あちらこちらから聞こえる断末魔に顔をしかめる私と家康さんに対して、ニヤニヤと笑う政宗さん。彼女が鉄球を持って暴れているので戦いに混ざりたくてウズウズしているのだろう。だったら何であの条件を呑んだのか聞きたかったが、あとにしておこうと思った。暫く待っていると概ね片付いたみたいで。野盗たちがそこら中に転がっていた。勿論、全員撲殺されている。まあ、織田軍を襲ってきたのだから死ぬ覚悟位はあるだろうと思いながら、無表情で顔に返り血を浴びながら歩いて来た彼女に声を掛けた。
「お怪我はありませんか、冬さん?」
私は極めて笑顔で彼女に問うと彼女は無表情で返してきた。
「…はい。たいして強くもなかったのですが、何人かに逃げられてしまったので、それを追っていたら時間が掛かってしまいました。」
淡々とそう述べる彼女に政宗さんは愉快そうに笑いながら話しかける。
「へぇ…あの人数をたいしてねぇ?おもしれえな、今度俺とも手合わせしてくれよ!」
どうやら彼の心に火をつけてしまったらしく、戦ってみたい雰囲気が溢れ出ている。それを彼女が無表情で見つめると踵を返し、話しだした。
「それは、終わってからにしてください。…今はあの男を始末する方が優先です。」
「おう、じゃあそれが終わってからな。楽しみにしとくわ!」
「……。」
彼がにこやかに笑うと彼女は無表情のまま、だんまりを決め込んでしまい、返答しなかった。それでも、政宗さんにとっては肯定の意志表示だったらしく、早くこの戦を終わらせようとやる気になっている。
「…終ったならあんたらも手伝って。…しのぶ、薬の準備するよ。」
家康さんがこの場を収めようと話題を変えて話しだしたかと思うと、歩いて行ってしまった。私は彼に着いていくようにして歩き出してにこやかに返事をした。
「はいはい、それでは炊き出しの方よろしくお願いしますね。政宗さん。」
「おう、任せとけ。美味いもん食わせてやる。」
政宗さんが自信満々に言うと、冬さんが話に入ってきた。
「皆様、私は何をすれば宜しいですか?」
その質問に何をしてもらうか考えていたところ、政宗さんから提案があった。
「じゃあ、俺のところの炊き出しを手伝ってくれ。…因みに、料理はできるか?」
「はい、人並み以上は。」