第22章 和解と始動
「…しのぶって、性格曲がってるって言われない?」
「あら、それはご自身の事を言っているのでは?」
「…あのねぇ…。」
段々とイライラし始める家康さんをからかう事が面白くて、つい笑ってしまった。そんな私を見ていた彼がもう一度溜息をついたあと、話しだした。
「別にやれって言ってる訳じゃない、やろうとしてって言ってるだけ。…ねぇ、聞いてるの?」
怪訝そうに此方を見る彼を見て、私はまた笑ってしまった。彼にちょっとと言われるけれど、私は少しだけ彼の言葉が嬉しかった。何せ彼は、私の在り方を真っ向から否定するのではなく、改革しようとしてくれているのだから。今の私を否定しないでくれる存在に少しだけ嬉しく感じながら、またもや怒り始める彼を宥める私だった。
「……騒がしい人達。」
襖の外で私達のやり取りを聞いていた、冬さんがそう呟いた事を知りもせずに。
準備は滞りなく終わり、そんな中、攻めてくる朝倉と大名達。略して朝倉連合軍に対抗すべく、私達安土城の者は戦に向けての準備に追われていた。今回の兵はやはり急だったという事で集まらなかった…。というわけではなく、流石、秀吉さんと思えるほどにきっちりと15万人に合わせてきた。信長様はその報告を聞くと満足そうな顔をして、急いで出立の準備をせよと言い放った。敵の軍はもうそこまで来ていた、私達は朝倉軍に向かう者と、大名達の軍に向かう者に別れることになった。因みに、班分けのし直しで決まったのは朝倉軍には信長様、光秀さん、三成君。そして、大名達の方は家康さん、政宗さん、私と、冬だ。因みに、お城でのお留守番は秀吉さんと炭明君だ。またもや、信長様直々に頼まれてしまい、断りきれなかったと後で秀吉さんに愚痴を聞かされたのは内緒だ。そんなこんなで戦の準備は概ね片付き、いざ出陣した。
「久しぶりだなぁ…戦に行くのは。なあ、家康?」
政宗さんが馬に乗りながら愉快そうに、喉を鳴らし、家康さんの方を向いた。
「…ええ、正直言って、政宗さんと組みたくはありませんでしたけど。」
心底残念そうな顔をしながら、不愉快そうに政宗さんを見た彼。その顔を見て、またもや政宗さんがちょっかいを出した。
「…えぇ……なんでだよ?」
「…毎回あんたの尻拭いを誰がやっていると思っているんですか?」
政宗さんをを呪うかのような目を向ける彼だった。