第22章 和解と始動
それは突然の出来事だった。会議の次の日の朝餉の時間にそれは起こった。ゆっくりと食べていると、今日は遅れた秀吉さんが息を切らしながら襖を開けた。当然そちらに皆さん目が行く。私も同じだった。息を整えながら秀吉さんは話しだした。
「大変です、お館様!!」
「…それは、見れば分かる。何事だ?」
焦らず冷静に受け答えした信長様は秀吉さんの言葉を促した。
「…部下からの連絡によると朝倉の兵、およそ4万が此方に進軍してきているとの事です!」
「「「…っ?!?!」」」
その言葉を聞いた途端に室内に緊張が走った。…朝倉といえば確か此方に初めて来たときに耳にした、大名の名前。何で急に、宣戦布告も無しに攻めしくるのだろうか?私が悶々としていると、秀吉さんが更に続けた。
「それだけではありません!各国の大名達も兵を出しており、その数およそ8万です!!」
「「「…っ!?!?」」」
平和な世界に亀裂を入れられたような今の言葉に固まっていると、光秀さんが話しだした。
「なるほど、恐れていた事が現実となったか。…お館様、如何なさいますか?」
「…ほう、どうやらその秋雨と言う男は相当俺を殺したいらしいな。」
鋭い目をしながらも、ニヤリと笑う信長様に不気味さを感じつつも、信長様の意見を待つ。
「…猿、急ぎ、兵の準備をしろ。最低でも15万の兵だ。それから、政宗、三成、食料や物資の関係は貴様らに任せる。光秀、猿とともに兵の準備に加われ。そこで貴様の情報も合わせて使い、指揮をせよ。家康、しのぶ、薬の準備を多めにしておけ。…皆、万全の支度をしておけ。…この俺に喧嘩を売ってきた朝倉、大名共を潰しに行く。」
「「「「「御意!」」」」」
「はい。」
そういう訳で、私は今家康さんと傷薬の調合を一緒にしている。因みに、場所は安土城の家康さんの部屋である。あの緊急の命令からどうなったかというと、私達は信長様の命令どおり薬を沢山作っている。特に止血剤は多めだ。あと、冬さんと炭明君はどうなったかというと、冬さんは私達が監視するという事だが、薬の調合はできないため、外で待機してもらっている。炭明君は料理がとても上手ということで、政宗さんのお手伝いに行った。
「…あんた、最近ずっと働き詰めだけれど、ちゃんとに休んでる?」
薬を煎じている家康さんがその手を止めず、此方を向かずに聞いてきた。