第22章 和解と始動
分解って、もうそれ人間じゃないでしょう?私は彼女の返しに驚きつつも、平静を装った。
「…なるほど。冬さんは本当にお強いのですね。」
そう彼女に聞くと彼女の瞳が少しだけ曇った。…さっき見たのと同じ様な感じです。なにか悪いことを言ってしまったでしょうか。心配して見ていると、呟くように彼女が返した。
「………いいえ、私は鋼牙の落ちこぼれです。私の兄の方がもっとずっと強かったです。……(ボソっ)あの時だって、一回も勝ったことはない。」
「…そうですか。すみません、あまり聞かれたくなかったのなら謝りますね。」
私は冬さんに頭を下げた。どうやら地雷を踏んでしまってみたいで、彼女は大丈夫と言っているがその顔は全然大丈夫ではなかった。そんなこんなで、会議は終了して解散になった。今回の会議では後半はどのようにして例の秋雨と言う男を討ち取るかと言う事だ。彼女の話を聞く限り、男には恐らく仲間が何人も居るだろうと予想がつく。特に、巧みな手腕で大名達を手懐けてしまったりすれば、後々厄介になる。そのため、二組に別れることになり、機動部隊と情報部隊に分けられた。因みに、機動部隊は信長様、政宗さん、家康さん、冬さん、そして私である。情報部隊は光秀さん、三成君、炭明君、そして安土城を一時的に任された秀吉さんだ。秀吉さんも信長様様に付いていこうとしていたが、それでは城の警備が手薄になってしまうので、信長様が直々に彼に城を任せたのだ。なので、秀吉さんはとても張り切っていた。
「姫様、また遠出されるのですか?…怪我をなさらないようにくれぐれも気を付けて下さいね。」
部屋に戻ると陽が心配そうに此方を見つめていた。
「…ええ。あの人は、結構無茶なお願いばかりするから、最近疲れが溜まって仕方が無いわ。」
私が肩を回すような仕草をすると陽が、ニッコリと笑って近寄ってきた。
「では、肩をほぐしましょう。私にお任せ下さい。」
彼女の笑顔に吊られて私は、肩もみをお願いした。その肩もみが絶妙で気が付けば私はウトウトとして、眠ってしまった。意識が切れる直前、陽が微笑ましそうに此方を見ているのが分かった。
「どうか、今だけはゆっくりお休みください。本当は姫様が戦場に行かれることはとても心配ですが、姫様はとても強い御方。…どうしようもない時くらいは頼ってあげてくださいね、家康様に。」