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戦乱の蝶姫

第22章  和解と始動


信長様はニヤリと愉快そうに此方を見る。私はちっとも面白くなくてイライラが増しているが彼を睨んでいてもお咎めがない。おかしいと思って、秀吉さんを見てみるとかなり微妙な顔をして唸っていた。…どういう時の感情ですかそれ。

「しのぶ、貴様が生かした娘だ。貴様が管理しろ。」

信長様はと私に向かって言った。私は渋々ながらもハイと答えようとしたときだった。

「…それはちょっと、危険すぎません?……昨日攻撃して来た奴なんでしょ。信用できるわけ?」

家康さんが信長様の方を向いて言ったあとに私の方を向いて話した。その顔を見ていると眉間に皺を寄せて、以下にも納得していないという顔をしている。

「…ふむ、では家康。貴様も同行すれば良い。貴様もその娘の監視をせよ。」

「…はい?」

突然の同行の話に目を見開く家康さん。私も驚いて固まってしまいました。

「…そんなに心配なら、共に来いと言っている。それから、これ以上話し合うのは面倒だ。……異論は認めん。」

少し威圧的な態度を取る信長様に少しだけ溜息を付きながらも、渋々と承知した私と家康さんだった。…結局、秀吉さんはずっと微妙な顔をしていた。あの顔は多分、お館様に賛成したいけれど私が心配といったところだろうか。……全く、本当に世話焼きな方です。
私は、悶々と唸っている秀吉さんを横目で見て微笑した。

「…そういえば、貴方のお名前は何と言うのですか?なんて呼べば宜しいのでしょうか?」

三成君が場に合わない発言を少女にした。少女はそれに無表情で答えた。

「冬です。…季節の冬と書いて、ふゆと読みます。宜しくお願いします。」

そう言うと、少女改め、冬さんは小さくお辞儀をした。私はそういえば彼女の名前を女将さんから聞いていた事を思い出し、何故忘れていたのだろうと思った。……うっかりです。

「…宜しくお願いしますね。私の名はしのぶといいます。」

私は彼女にニッコリと笑い掛けた。すると、少女はペコリと頭を下げて話しだした。

「…先日、団子屋に来て下さりありがとうございました。…今回の件、宜しくお願いします。」

「…ええ、此方こそ。それにしても鋼牙は毒が効かない体質なのですか?精々、3日は動けないと思ったのですが。」

「ああ、やはり毒でしたか。…私達は回復が早いんです。あなたの毒は少量でしたので分解出来たのだと思います。」
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