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戦乱の蝶姫

第8章  忠臣と同盟国の領主


「………胡蝶しのぶと申します。女性だからといって舐めないでくださいね。私は薬学の家の生まれですので、薬剤に関しての知識は広いと思います。あと、剣術は言わなくてもわかりますよね…?」
そう言って、茶色い髪の男の顔を目を細めながら見る。
「…っ本当にいちいち余計なことを言う女だなお前は!………っ、分かったよ。そんな目で見るな、政宗。自己紹介すればいいんだろ…。……俺の名は豊臣秀吉。信長様の右腕であり、忠実な家臣だ。」
どうやら、政宗…さん?…のジト目が効いたみたいだ。不満そうにしながらも、自己紹介してくれた。やっぱり、信長様に猿って言われていたのでもしかしてと思いましたが…。私は内心で少しだけ、ため息をついた。

「俺は信長様の家臣じゃ無いぜ。同盟相手の伊達政宗っていうんだ。聞いたことないか?独眼竜の伊達政宗って。」
………そりゃあ、知ってますとも!ものすご〜く、有名ですよ!…今言ったら面倒な事になりそうなので言いませんけど。

「…なるほど。では、豊臣様と伊達様とお呼びすればいいですか?」
すると、一人はニッコリと笑って、もう一人は不服そうに呟いた。

「いいや、下の名前でいい。様もいらねぇ。」
「…別に、様はいらない。あと、下の名前でいい。」
ええっと…。取り敢えず、今呼んでおいた方が良さそうですね。

「すみません、私の癖でして呼び捨てはちょっと…。なので、政宗さんと秀吉さんでどうでしょうか?」
すると二人とも悩むような仕草をした後、こっちを向いた。

「まあ、会ったばかりだし、仕方がねぇか…。イイぜ、お前がいずれ呼び捨てにしたくなるようにしてやるから覚悟しろよ!」
そう言うと、政宗さんは満足そうに私の乗っている馬から離れた。…覚悟しろよって、信長様の前で言うことですか?

「まあ、今はそれでいい。……それと安土への道は長い。信長様も一緒に乗っておられるのだから、少し安め。体が持たないぞ、お前は女なんだから。」
「…はい。分かりました、お気遣いありがとうございます…。」
女として舐められているのかと思いましたが、実際にこの人の目を見ると、心配しているみたいですね。私も、意地を張りすぎましたし、反省です。…っあ、私だけが悪いってわけではないですからね!あっちだって、いきなり切りかかってきたんですから!……何か、調子が乱されました。変な気分ですよ、全く…。



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