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戦乱の蝶姫

第8章  忠臣と同盟国の領主


カァカァカァ…!
…会話が何もありません。遠くのカラスの鳴き声まで聞こえてくる始末です…。さっきから、怒りっぽい人はずっと睨んできますし、眼帯の人はニヤニヤとした笑みを浮かべています。その状態で私は機嫌の良さそうな信長様と一緒に馬に乗っていると…。やっぱり、後ろからの視線が痛い…。どうしろって言うんですかこの状況!!



時はさかのぼって、およそ1時間。私は安土に連れて行かれるようだが、その時に誰の馬に乗るのかという問題が発生した。信長様は俺の馬に乗れと言ってきたけど、勿論それについて意義を唱えた人がいる。

「いけません、信長様っ!!そのような、得体のしれない女と同じ馬に乗るなど、俺は絶対に許しません!!」
「…じゃあ、猿。貴様がしのぶと同じ馬に乗るか?」
「それは…」
「それは、私が嫌です。後ろから切られるかもしれません。」
私は、断固反対した。不死川さんに似た彼と数時間同じ馬に乗るなんて、耐えきれません。……冨岡さんと同じよりもましですけれど…。

「なんだとっ!お前、信長様に対して意見するなど、無礼だとは思わないのか?!」
「そのせいで、あなたと一緒はお断りです。」
「このっ…!」
「あぁ…お前らさっきから、本当に喧嘩しかしねぇなぁ…!」

というように、また眼帯の人が止めに入って何とか収まったが、結局、信長様の馬で一緒にということになった。という訳で最初に戻るのだ。

「猿…。貴様、いつまで、俺の所有物を睨んでいるのだ。いい加減にせよ。」
「…ぐっ、申し訳ございません…。」
「そうですよ、お猿さん。信長様の所有物と言われるのは正直どうかと思いますが、あなたはずっとキィキィ言ってて、うるさいです。」
「お前に、お猿さん呼ばわりされるいわれはない!!口を慎めっ!!!」
「………お前ら本当に、もう。」

やっと会話をしたかと思ったら、こんな感じで、また最初に戻るのだ。いい加減、イライラしてきました…。


「…おいっ!………お前、名は?」

…どうゆう風の吹きまわしでしょうか?さっきまで怒っていた人が私の名前を聞くなんて。私は、真意が読めず、返答に困った。

「…いいじゃねぇか。教えてやれよ。どっちみちこれから一緒にいるんだし、減るもんでもねぇしよ。」

眼帯の人が私に向かって言う。ちらりと後ろに跨る信長様を見ると、教えてやれと顔が物語っていた。

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