第21章 情報の開示
「どういう事だ?説明してくれ、光秀。」
秀吉さんが光秀さんの方を向いて言った。光秀さんはそれに答えるように話しだした。
「秋雨という男は鋼牙が戦の度に大名達から報酬を受け取っている事を知っていたのだろう?だから、里から去る前にあのような事を言った訳だ。だとすれば、里を攻め落とすために周りの大名達に声をかけることは目に見えている。恐らくこう言ったのだろう。……鋼牙の里の者が大名達に不満を持ち、反乱を起こそうとしていると。大きな力とは憧れと共に畏怖の対象でもある。よって、やられる前に此方からやるという訳だ。秋雨と言う男、中々やるな大名達の不安を煽るとは良く考えたものだ。」
光秀さんは感心していながらも、目は鋭く光っていた。私はそれを聞いて、少女の方を向くと彼女はうつむいたまま呟いた。
「…どおりで、獣化についても知っていた訳ですか。あの男の術中にハマってしまったんですね。……やはり最初に会ったときに殺しておくべきでした。」
少女の表情は無表情ながらもその目は憎悪に歪んでいた。するとその中で声を発したのは三成君だった。
「…あの、先程から気になっていたのですが獣化とは何でしょうか?」
「ああ…言っていませんでしたね。獣化というのは鋼牙の本能である血を呼び覚ます事で莫大な強さを得ることです。…しかし此れには欠点があり、獣化している状態では獣の本能ままに暴れまわります。」
「つまり、自分で制御出来ないのですか?」
「…はい。私にはどうしても出来ませんでした。」
彼女はそう言うと無表情のまま瞳が一瞬曇ったように感じたがもう一回見てみるとまた無表情だったので気のせいだと思った。
「…なるほどな、つまりいつ暴れるか分からない獣である貴様を連れて行けというわけか。」
信長様は少女を睨むように見た。それでも少女は目を一切逸らさずに見つめ返した。
「ええ、お話した条件です。…呑んでくださいますか?」
「クックックっ…貴様、しのぶと似ているな。初めて会ったにも関わらずいきなり攻撃してきたり、条件を出してきたり本当によく似ている。…よかろう、貴様も同行を許可する。姫であるしのぶの護衛としてだ。」
それを聞いていた皆さんかポカーンとしている。勿論私もだ。
「…それ、する必要あります?」
私はジト目を信長様に向けた。
「ふっ…面白いと思ったからだ。」