第21章 情報の開示
暗い夜の森で私は数時間ほど暴れ続けました。逃げ惑う男共を処理するのには意外と時間が掛かり、中々終わりませんでした。
『…さて、何処に行ってしまったのでしょうか?』
私は返り血を拭い、血塗れの鉄球を引きずりながら男たちの親玉と思われる人物を探しました。
ガサ…ガサ…
『…ああ、そこに居たんですか。』
私は茂みに隠れる男の背後に周り、彼に話しかけました。途中、この男の言うことに呆れて言葉も出ませんでした。ですが、恐らくこの方たちはあの男が言っていた大名共の鼠。ここで始末しておいたほうが良いと思い、私は腕をふるいました。
『…………あなたに延命の余地はありません。』
ざしゅ…!!
血飛沫が舞い、漸くこの場が静かになりました。私は返り血を手ぬぐいで拭ったあと、気を失っていた女将さんを急いで運び、家に戻りました。親父さんが大層心配してくれて戻ったら抱きつかれてしまいました。おかえりと微笑んでくれて、血塗れの鉄球を隠す私を暖かく迎えてくれました。ですが、次の日に朝にあの死体をそのままにしてしまったことを思い出し、急いで寺に向かうとあなた達がいた訳です。目撃者がいると、とても困るので脅して帰って貰おうかなと思ったのですが、あなた達が交戦の意欲が高すぎて結局戦う羽目になったという訳です。…因みに、先程の秋雨について話せないと言ったのはあの男に裏切った事をバレないようにする為です。あの男は、信長様に対して強い憎悪を抱いていました。なので、もしこの城内に彼の間者がいれば気づかれてしまうと思ったのですが、皆様の反応を見て大丈夫だと思いました。…話は以上です。
そう言って、少女はまた無表情を貫きながら信長様を見た。信長様は大層考え込んでいる様でとても静かだ。そんな信長様を皆さんで見つめている中、ある人物は顔を上げた。
「…なるほどな。だが、不可解な点がある。…何故大名達はおまえらの里をこぞって襲ったんだ?関係が悪い訳では無いだろうに。奴らにとって何か利益があったのか?」
政宗さんが不思議そうに少女に訪ねた。…確かに私も気になっていた。戦に駆り出されるくらいだから、何か訳があるのだろうか。…例えば、襲撃しないといけない状況だったとか。
「…恐らく、秋雨という男が原因だろう。奴が根回しをしたんだ。」
そこで話を始めたのは光秀さんだった。