第21章 情報の開示
『だから、言っただろう?依頼だって。…大名共の放っている鼠共を皆殺しにしろ。どうやら、鋼牙が生き残っている事を調べたらしい。その生き残りを自分のものにしようと血眼で探している。此れはお前にも関わる問題だ。…お前なら、簡単だろう?』
男はニヤリと不気味な笑みを私に向けてきました。私は彼の言葉を受けて自身の為でもありますが、其の方たちを消すべく、依頼を受けました。
『…ええ、断ってやろうかと思いましたが、私に関わる話は別です。…引き受けましょう。』
『ふっ…じゃあ、頼む。』
男はそう言うと、其の場から去っていきました。すると、入れ替わるように女将さんが台所から出てきました。
『おや?誰が来ていたかい、冬?』
『……いいえ、誰も来ていません。』
『ふーん、そうかい。』
そうして、何とか誤魔化し私はその鼠達の情報を集め、決行しようとしていました。そんなある日、女将さんが買い物から帰って来なくなりました。私はおかしいと思い、親父さんと二人で女将さんを探しに行きました。…勿論、暗いので誰かに襲われているかもしれないと思い、武器の鉄球を持って行きました。少し遠出して、寺の近くまで走って探していた所、突然悲鳴が聞こえました。それは間違いなく女将さんの声でした。私は急いで階段を駆け上がり、女将さんの下に向かいました。登り切ると見えていたのは、何人もの男たちが女将さんを囲んで刀を向けていた所でした。女将さんはその間で気絶していました。
『…ちぇ…婆婆ぁかよ。この時間になら、鋼牙も出てくるんじゃないかとか言ったやつ誰だよ?』
『別にいいんじゃね?…この婆婆ぁ、殺して金目のもんだけ奪い取って帰ろーぜ?』
『そうだな、こいつ気絶してやがるし、さっさと奪うもん奪って殺そうぜ?』
男たちの下品な笑い声に私は怒りが抑えられず、ある男が女将さんに刀を振り上げた瞬間に私はその男に向かって鉄球を振った。
グシャァァァァァ!!
『……えっ?』
血飛沫が舞い、男の頭は見るも無残な肉塊になった。突然の事に男たちは言葉を失い、その攻撃してきた方を見る。其処には、夜風に銀髪を靡かせて片手に鉄球を持ち、此方を射殺すかの様に見つめる、怒りに満ちた少女の姿があった。…それは私の姿であった。
『…その人に、触るなァァァ!!』
私は怒りに身を任せて、牙を向くかの如く鉄球をふるった。