第1章 ~始まり~
落ち着かない体を必死に抑え込んだ。
こんな時はどうも昔のことを思い出してしまって、動けずにいた。
一人だった私の眼には【赤】が映っていた。
生暖かい液体がこの手を伝う感触を今も私は覚えている。
だけど白雪にあってから赤はあの色だけじゃなくてあんな綺麗で鮮やかな色も存在していたことを思い出せた。
あの子はいっていた私の髪の色のことを運命の色だと言ってくれた友達がいて、それでこの色がもっと好きになれたんだと。本当に幸せそうにその時のことを思い出す様子が私にとっては眩しくも羨ましくもあった。
あの子にとっては薬草の話が合って、宮廷薬剤師を目指す仲間だと知って仲良くしてくれただけかもしれないそれでも私は本当に嬉しかったんだ。
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結局白雪はお昼を過ぎても帰ってこなかった。
昨日の男を倒したときは全く震えなかった体が小刻みに震えた。いても立ってもいられなくなり飛び出すと見知らぬ男性が白雪の名をおばさんに出しているのが聞こえて目を見開いた。
あの人、もしかして白雪の言っていた友人?明らかに身分が高そうな人だ。
でも....そんなことは関係ない。白雪のことを連れ戻してくれるなら不敬罪で殺されたってかまわない。それくらい白雪のことを思っている自分にも驚いた。