第2章 ~宮廷薬剤師見習い~
「白雪!!」
「わあっ?!れ、玲葉さん!」
足音を消して後ろから声をかけると、白雪ともう一人の同期の子がびくりと肩を震わせる。白雪にはよくこうやって驚かせているので私だとわかると何事もなかったように笑った。
「玲葉さんも合格したんですね!」
「そうだよ。これからは白雪と同期として一緒に働けるね。そこの人も同期になるんだよね?」
「あ、そうっす。俺はヒガタっていいます」
「私は白雪。でこの人は私の友達の」
「玲葉だよ。白雪の四つ上だから二人とはちょっと離れてるけどどうぞよろしく」
お互いに自己紹介をして、緊張していた雰囲気が崩れるとガラクさんと八房さんが入ってきた。
「ちゃんと親交が気付けているようで何より。改めて、薬室長のガラクです。これからよろしく新人君達。今回、宮廷薬剤師見習いとして採用したのはこの三人だよ。仲良くするようにね。そのうち、合同で仕事を任せることもあるだろうから」
「話は薬室長から聞いていると思うけど、ヒガタくんは俺、白雪さんはリュウ、玲葉は薬室長の下で見習いとして業務を学ぶこと」
バラバラになってそれぞれの場所で薬学を学ぶって感じか。なるほどね。
白雪と離れてしまうのは残念だけど、業務の終わりや休憩時間は一緒にいれるしいいか……。
「白雪くん、リュウの部屋はこっち」
ガラクさんのノックの後に部屋を覗いてみると、大きな紙を広げて何かを書くのが見えた。
この子が最年少の宮廷薬剤師…噂では聞いていたけど本当に小さい。
クラリネスは優秀であればどんな人材でも受け入れると聞いていたけれど、こんな小さな子を宮廷薬剤師として認めるなんて本当にすごい国だ。
普通はこのくらいの歳の子だったら門前払いされる国がほとんどだというのに。
「リュウ、入るわよー。今日から助手についてもらう白雪くんよ。見事あの試験を突破したわ」
「どうも、リュウです」
「わからないことがあれば彼に聞けばいいから。じゃ、仲良くやって頂戴?
ヒガタくんは八房が教えるからそっちについて行っていけばいいから。
それじゃあ、玲葉くんには薬草庫の場所とか教えるからついてきて」
「は、はい!」
白雪が部屋に入るのを見送るとヒガタは八房さんのほうへついていく。薬草庫か、どんな薬草があるのか楽しみ。