第18章 雲間から望む
「わぁ、楽しみ。…咲、ササユリを生けて貰える?」
『かしこまりました。ふふっ。』
「咲?どうしたの?」
『いぇ、お幸せそうな様が見れて嬉しくて。』
「え、あ。そうだね。また、みんなと話せて一緒にいられて幸せかな。」
が柔らかく笑うと、褥を囲んで座っていた武将達と佐助、そしての真後ろで背中から抱き締めるように腰かける信長が、穏やかに微笑んだ。
『…少し休もうか、。』
『そうですね、リハビリもしましたし。』
『…佐助。馴染みすぎ。』
『ありがとうございます。』
『…よし。秀吉、光秀が戻ってきた。戦や政務について軍議をする。佐助は、といろ。』
『『『はっ。』』』
『、少し空けるぞ。夕げまで体を安めるといい。』
「はい、ありがとうございます。」
信長が言い終わると、五人はゆっくり立ち上がる。
『秀吉、光秀。着替えてこいよ。』
『あぁ、そうだな。』
『では、四半刻後に広間にて軍議だ。』
『はっ。』
『俺はそれまで、ここにいる。』
信長は、の左隣にごろりと横たえた。
『そのまま寝ないでくださいよ?』
『秀吉が起こしに来るだろう。』
『勿論です。』
「私は大丈夫ですから、軍議始めてください。」
『あぁ、準備ができたらな。それまで貴様と共に休む。』
「…もぉ、困った人。ふふふっ。」
ようやく普段に戻りつつある生活と、仲むつまじい安土城城主と妻の姿を、忠誠を誓う武将達は優しく見守り、頭を下げ部屋を出ていった。
※
軍議が始まると、の元には佐助がついた。
「綺麗なオレンジ。」
『あぁ、光秀さんが花を摘む姿を創造すると… レアすぎて感動しちゃうな。』
「秀吉さんの摘んだ野苺も楽しみ。」
『ほんと…、愛されてるね。』
「…死ななくて良かったと思ってる。」
『えっ。』
「私、きっと危なかったと思う。色んな奇跡が繋がって、助かったんだと思う。死ななかったから、また皆に会えて、幸せだし。」
『万が一、さんがどうにかなってたら安土も越後も大変だったと思うよ。本当に、良かった。』
「ありがとう。」
『信長公に話そうと思うんだけどさ。』
「うん。」
『そろそろ、越後に帰るよ。』