第18章 雲間から望む
「あ、いたたっ。痛いよ、家康。」
『我慢。』
『やっぱりだ、さん。傷は、腕をどんな方向に動かしても影響する場所にある。少しずつ動かして筋肉をほぐさないと堅くなるよ。』
『さぁ、もう一回。ゆっくり少し挙げるんだ。』
家康は、の腕を支えながら挙上の補助をする。
「んー。もうちょっと、家康、ゆっくり。」
『これを今は5回ずつ、朝夕にやろう。手拭いを握って離すのもね。』
『佐助に色々習ったから、政宗さんや秀吉さん、光秀さんに教えて運動をやっていくよ。』
「信長様と三成くんは?」
『信長様は、別のことをやりそうだし。三成は問題外。』
「もぉ、三成君にひどいよ。ふふっ。」
『笑ってるじゃん、。あんたが一番酷いんじゃない?』
と家康、佐助が顔を見合わせて笑い合う。
その声を、信長は穏やかに隣の部屋で政務をしながら聞いていた。
ほんの少しだけ口元を緩ませて。
『。ほら、水出しの茶だ。お前達の分もある。一息入れろ。信長様にも渡してきたぞ。』
「政宗、どこ行ってたの?」
『決まってるだろ、厨だ。ようやく全員揃うんだ。
夕げは宴だろ?』
『宴だろ?って、まだは動けませんよ?』
『あぁ、だからこの部屋でみんなで膳を囲む。』
『はぁ? 狭いから。』
『じゃあ、家康は御殿に帰れよ。』
『…、やですよ。』
『って点に、誰一人かけずに戻ったんだ。
皆で飯を食おう、なっ。』
政宗は、家康の髪をぐしゃぐしゃっと撫でた。
『やめてくださいって!』
「政宗のお膳、楽しみ。」
そろそろ、秀吉さんや光秀さん、帰ってくる頃かな?」
『あぁ、そうだね。そろそろ知らせが来るかも…』
バタバタバタ
『三成公だ。』
『ほらね。』
『失礼致します。信長様。秀吉様、光秀様が国境を越えられたと知らせが来ました。』
『そうか。』
「良かった、無事で。」
『あの二人なら大丈夫でしょ。』
『さんの姿見たら喜ぶだろうね。』
『泣いてね。』
『家康、三成。政宗。』
『『はっ。』』
『を佐助に預け、出迎えだ!』
『佐助、頼むよ。』
二人は信長の声に合わせ立ち上がると、城門へ向かって歩き出した。