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暁の契りと桃色の在り処 ー音ー

第17章 嘘のような奇跡


『贅沢すぎる監視で療養するんだ。言うこと聞いておけよ。』

『…政宗さんの言う通り。わかった?。
秀吉さんが帰ってきたら、付きっきりになるよ、きっとね。』

ふっ、と家康が皮肉混じりに笑った。

『煩い姑だからな。』

信長もまた、にやりと口角を上げる。

『咲、貴様もこやつには厳しくしてくれ。』

『はい、畏まりました。』

「信長様! もう、しませんてばっ!」


先ほどまでとは比べ物にならないような優しい空気が、の周りを包み込んだ。






『家康、の夕げの味見を頼みたかったんだ。
厨にいいか?』

『はい、傷口も開いていませんでしたし。監視もありますからね。

…あ、。明日から佐助と決めたりはびり、始めるから。』

二人は信長に一礼し部屋を出た。

『私は踏み机を片付けてまいります。』

『お手伝い致します。』

『俺は、夜の警備の打ち合わせを。』

三成と咲、佐助もまた、部屋を出た。



夕暮れが、襖に二人の影を残す。
それが重なっていくのを、5人は数歩先の廊下から見守るのだった。





厨には、四人が自然と集まっていた。
瓜を柔らかく煮て崩し、野菜の煮汁と合わせとろみをつけた物を、家康、三成、佐助が試食していた。

『粥にかけてみようと思うんだ。どうだ?』

『いいんじゃないですか?』

『優しい味ですね。さすが政宗様です。』

『愛情が詰まってますね。』

『だろ? 越後からの食料も楽しみだぜ。』

政宗は、の夕膳を手早く用意し始めた。


『…皆様は、どう思われましたか?』

三成が、ぼそりと呟いた。

『…なにが?』

『お二人のお子さんの話ですか?』

家康の問いに、佐助が答えた。

『文献にはあの様な夢物語はありませんし、未だ聞いたこともありません。ですが、お二人は本当の事のように話されていましたね。』

『産まれてくる子が、命を助ける。なんて有り得るのか?』

『佐助、あんたの時代だと有り得るの?』

『いえ、聞いたこともありません。』

『…じゃあ、なんなの?夢?』

『夢にしちゃあ、現実的すぎるぞ。』

『…でも。』

佐助が夕闇に染まり始めた空を見上げながら、呟く。
見上げた空には、キラキラと星が輝き始めていた。



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