第17章 嘘のような奇跡
『それ飲んだら、少し寝るよ。』
「うん、わかった。」
『、食べたいものないか? なぁ、家康。そろそろ形のある消化にいい物も食わしてやりたい。』
『まぁ、そうですね。飲み込みも問題ないですし。』
『何食いたい?』
「…さっぱりしたものがいいな。あと、甘いもの。」
『わかった。任せろ。』
政宗がにやつきながら、片付けを始める。
すると、佐助が姿勢を正して話始めた。
『家康公。さんの傷の回復はどうですか?』
『止血も出来てるし、化膿も最低限だった。いい方向だと思うよ。』
『では、そろそろ動かしていって筋肉の緊張をほぐして血流を促していくようにしては?』
『…500年後の知識?』
『はい、リハビリと言います。専門知識は何となくですが、動かすことで血の巡りを良くさせ回復を促すんです。揉みほぐしをしたり、ゆっくり動かしたり。』
『じゃあ、あんたに頼む。やり方とか俺も見たいから診察のあとね。』
『わかりました。』
『さ、。寝るよ。』
家康の促しに、信長は抱き抱えるようにを褥に移した。
優しく頬と髪を撫でる。
『はぁ、信長様。あんたも政務やってください。』
『もうすぐ、秀吉が戻るだろう。俺がやらんくても。』
「帰ってきて、疲れてるですから…秀吉さんが可哀想ですよ。」
『…ですってよ。ほら、三成が踏み机を隣の部屋に用意しましたから。には、咲と俺と佐助が付いてますから。』
『…。』
「大丈夫です。お仕事してください。」
『…はぁ。』
信長は、溜め息をついた後、の額に口づけると立ち上がった。
『何かあれば、直ぐに呼べ。』
『御意。』
信長は、三成を連れ部屋を出ていった。
『さんはすごいな。』
「え?」
『あぁ、すごいよ。あんたは。』
佐助が微笑むと、家康が呆れたように言葉を続けた。
『天下の魔王を一人の男にさせてるんだからさ。』
『越後の龍と甲斐の虎も、付け加えてください。』
『…はっ。言うね、佐助。』
佐助は、家康と目を合わせると含み笑いをした。
『さ、少し寝よう。。』
「うん。ありがとう。」
襖を少し開けると、柔らかな日差しとふわりと風が入ってきた。