第16章 ただいま
『よく、戻ってきた。』
信長様が、優しくおでこにキスをした。
『、…わ、かる?』
家康?
どうしたの? 声が震えてる。
『泣くな、良かったじゃねぇか。』
政宗。家康、泣いてるの?
わかるよ、家康。
でも、ごめんね。あまり声が出なくて。
「…、じょ、ぶ。」
『うん、うん! …っ、良かった。』
『すげぇもん見たな。あいつらが帰ってきたら教えてやらなきゃな。な、家康。』
あいつら?
『、右手動かせる?俺の手、握ってみて?』
家康に言われて初めて、手を繋いでいたことを知った。
繋いだ手に力をいれる。
『うん、よし。じゃあ、握った後、離してみて。』
握って、…離す。
『よし、まずはいい感じだ。』
『何か持ってくるか?』
『政宗さん、もっとしっかり意識が戻ってから、ですかね。白湯か…、あまり負担にならないような…。』
『野菜の煮出した汁は?』
『いいですね。味付けはしないで。』
『よし、煮出した後に、こして雑味を除けば…
準備してくる!』
私を見てニヤリと笑った後、バタバタと政宗が出ていった。
『様。』
『さん。』
三成くんと佐助くん。
なんでいるの? 佐助くん。
『良かったです。』
『奇跡を見てるみたいだ。』
ありがとう。
なんかね、
うん。そうだね、奇跡みたい。
この目に見えるもの全て、空気も全部
キラキラしてるの。
『もう、大丈夫だな。』
信長様の優しい声が聞こえた。
そう言われて
頷きながら微笑んだ。
『針子たちや皆に知らせて参ります。』
『あぁ、そうしてやれ。』
咲、ありがとう。
『…信長様。そろそろ寝かせてください。
傷口が開いたら大変だ。診察します。』
『…ふん、まぁ、いい。』
私はふわりと褥に寝かされた。
『俺たちが見てますから、湯浴と着替えしてきたらどうです?』
『あぁ。…すぐ戻る。』
信長様は、私の頭を撫でた。
言いたい。
貴方に。
伝えたいの。
「…、…、ま。」
『…? 信長様、が何か言ってます。』
『なんだ??』
「…な、…ま。あ、…かっ、た。」
『ふっ。あぁ。会いたかった。
俺もだ。。
もう、大丈夫だ。もう、離さない。』