第12章 点と線
『そうですね。我らも皆さんと同じく、さんと線で結ばれている点の一つなのでしょう。』
佐助が言い終わると、静かに一同がの眠る部屋に視線を向けた。
『佐助、直ぐにこの傷薬使わせてもらう。』
『はい。』
『俺は三成の補佐をしながら、の政務をするからあんた達は警護を頼むよ。』
『あ、はい!』
『おい、おい、家康。素直じゃねぇか。』
『政宗さん、人足があれば楽ですからね。』
家康は、ふいっと視線をそらす。
『早く終わらせて来てください。じゃなきゃ、上杉が攻めてくるから。』
『あぁ、任せろ。』
秀吉は、家康の方を叩くと政宗と頷き合った。
『佐助、上杉の忍びも西にいるのか?』
光秀がゆっくり話始める。
『はい、そしてかの大名の周りにも放っております。』
『なるほど、流石だな。…信長様、佐助側との情報の確認をしても?』
『任せる。』
『よし、家康。佐助を借りるぞ。』
『どうぞ、お好きに。』
『よし、政宗。俺たちも出陣の確認だ。』
『信長様、政務の確認ですが、』
各々が自身の仕事の為に動き始める。
家康は、立ち上がるとの部屋へ向かった。
※
呼吸は早いが、落ち着いた様子では眠っていた。
水桶がなくなっている。家康は、咲が変えに行ったのだろうと思った。
額に手を当てると、まだかなり熱いが、髪の生え際はじっとりと汗がにじんでいる。
右肩口に手をかけ、晒しを覗く。
うっすらとした赤みと滲むような化膿の跡。
家康は、手際よく傷の処置を始めた。
傷口の晒しを剥がす。
新しい晒しには佐助が持ってきた傷薬をのせる。
『家康様、いらっしゃっていたのですか?』
『あぁ、咲。その水使わせて。』
咲が持ってきた水で手拭いを濡らし、傷口を拭きあげると新しい晒しを当てた。
すっと襖が開く。
『どうだ?』
『の、信長様!』
『咲、気にするな。の世話、大義である。』
『…熱はあまり下がりませんが、予想より化膿しませんでした。越後の傷薬を使いました。効けば良いのですが。』
『そうか。』
信長は、家康の向かい側に座りの左側に腰かけると、ごろりとの隣に寝始めた。
『あんた、何してんですか?』