第12章 点と線
それから、は予想通り高熱を出した。
家康は、付きっきりで診察と治療を行う傍ら、政務をする。
秀吉と政宗は、手際よく隊をまとめると出陣に向けて準備を終わらせた。
光秀は、配下の忍を三つに分け、西、大名、安土守護と命を放ち自身も闇に溶けていく。
信長は、三成に一通りを任せた後、の隣で書簡整理を始め、天守に戻らずにと共に過ごしていた。
家康が倒れないようにと、秀吉と政宗が交代で夜に付く事もあり、一人一人がを中心に絆を強めるようだった。
※
が傷を負って四日目の軍議前。
集まり出した面々が、慣れた手付きでの隣の部屋を軍議の広間へ変えていく。
すると、少しだけ歩調の荒い光秀が襖を開け入ってきた。
『信長様、取り急ぎご報告が。
やはり、西の小国が集まり、挙兵した様子。国境で小競り合いが。』
『…そうか。秀吉、政宗、手配は?』
『滞りなく。』
『よし、久しぶりに暴れられるぜ!』
『よし。』
『大名の方は?』
『あの四名が最後だったものと。』
『そうか。では、西に向け明日出陣する。』
『『はっ!』』
『…、御館様。』
『なんだ、秀吉。』
『御館様も出陣されるのですか?』
『しつこいぞ、先に申したはず。』
『…ですが、があの状態では…』
秀吉の一言に、信長を除いた全員がちらりとが眠る部屋を見た。
『小国が集まったとしても、我が足元にも及ばないことを知らしめなければならぬ。
今後の西の制圧に向けても、この小競り合いはただの戦にしてはならぬ。
わかったな。』
『…。』
『秀吉、政宗。』
『『はい。』』
『の為に早く終わらせる。過去の戦のどれよりも早く。
わかるな。』
『…!!』
『俺一人で十分でしょう。なぁ、秀吉。戦納めの最短記録を目指すぞ!』
『光秀。』
『はっ。』
『貴様の忍は、まだ放っているか?』
『はい、西と大名の元に。』
『では、そのままに。貴様もいつ出陣してもいいようにしておけ。』
『御意。』
『三成は、後方支援と城守。家康は、三成の補佐との全てを任せる。』
『御意。…。』
信長に全員が頭を下げる。
そして直ぐに、また全員が信長に目を向けた。