第12章 点と線
『三成。』
『はっ』
『安土城内の政務は貴様を中心とし任せる。俺と秀吉と政宗が出陣の際は後方支援をせよ。』
『御意。』
『異論は聞かぬ。貴様ら誰一人かけず励み、安土に戻れ。』
『はっ!』
『…。俺も貴様ら全員も、点にすぎぬ。』
突然先程までの凍てつくような声色から、幾分穏やかになった事に、武将達は驚くように信長を見た。
『しかし、我らの点から引く線の先にはという点があるのみ。
これからの一時、各々働く場所は違うが必ず全員の先にあるのは一点。
しかと、心に刻め。
を泣かすな。必ず戻れ。
よいな。』
『『 はっ! 』』
全員が一斉に頭を下げた。
光秀が立ち上がり、の一時顔を眺めると、フッと笑う。
『、直ぐ戻る。家康、頼んだぞ。』
『任せてください。』
光秀は左腕のが作った腕輪を眺め、信長に一礼し部屋を出て行った。
『政宗、隊の準備をするぞ。』
『あぁ。家康、もう大丈夫だな?』
『ええ、政宗さん。』
『よし。、いい子でいろよ?
いってくる。』
『家康、頼んだぞ。』
『はい。』
秀吉は、腕輪を右手できつく握り立ち上がっり、政宗は腕輪に口付けると、信長に一礼し部屋を出る。
『。貴様のすべては俺のもの。忘れるな。
…三成、政務を申し送る。来い。』
『はい!』
信長は、の額に口付けると立ち上がる。
三成もそれに続き動き出した。
『様、心はいつも貴方の側に。』
小さく囁いた三成の言葉に、家康は少しだけ微笑んだ。
『へま、するなよ。』
『はい。』
大事そうに腕輪を撫でた後、三成は信長を追って部屋を出た。
『さぁ、。頑張るよ。』
家康は、優しく微笑み脈を測っていた右手を握り締めた。