第12章 点と線
「あうっ!はぁ!」
『!』
家康は、脈を取り始め顔色や息づかいを確認する。
しかし、自身の小刻みに震える手が邪魔をして上手く出来ずに舌打ちを始めた。
ガシッ
小刻みに震える家康の手を押さえたのは政宗だった。
互いに無言であるが政宗が家康の背中を支えることで、家康も次第に落ち着き始める。
「はぁ、はぁ、はぁ、。」
『、痛い?寒い?』
「い、…やす。いた、…て、あつ、い。さむ…よ」
『そう、熱が出るんだ。頑張ろう。なんとかするから。』
「う、ん。…あ、はっ。うっ。」
の小さな呻き声の後、信長が繋いでいた左手が、ばたりと脱力する。
『『!』』
『おい、家康!』
『、!』
『様ぁ!』
『家康、どうなんだ!』
信長と武将達の叫び声は城内に響き渡り、城勤めをする家臣達の元にも届くほどだった。
脈を取る家康が、の手足を触り、胸の音を聴く。額に手を当て、ゆっくりと呟いた。
『眠りました。』
『眠っ…た?』
『大丈夫なのか?』
『ええ。おそらく傷を負った事からの体の負荷からくるものから、少なからず起こる炎症による発熱に変わる時だったのでしょう。
一時的に意識が浮上したのだと。』
『…じゃあ、これから…』
『はい、かなり熱が出ると思います。まだ手足も冷たく震えている。だが、体は熱い。熱が上がりきるまでどれだけかかるか、体力が持つか、それにかかっています。』
『くそっ。』
『あいつら、ぜってぇ赦さねぇ。』
『信長様…』
光秀の一言で、全員がの髪をすくに視線を集中させる。
信長は、髪をすく手を止めることなく話始めた。
『光秀。』
『はっ。』
『貴様は、西とあの大名の動向を探り報告。』
『御意。』
『秀吉、政宗。』
『『はっ』』
『万が一の西の挙兵に対しては、俺と貴様達の隊で向かう。何時でも出陣出来るよう支度をしておけ。』
『承知。』
『しかし、信長様が行かれては…』
『秀吉、異論は聞かぬ。』
『はっ、失礼を。』
『家康。』
『はい。』
『貴様は我が奥の典医としての仕事を優先し、政務を行え。部屋は好きに使ってよい。佐助も好きに呼んでよい。』
『はい。』