• テキストサイズ

暁の契りと桃色の在り処 ー音ー

第11章 隠れた太陽


『信長様、乗ってください。』

三成が信長の愛馬を引き寄せた。
家康がを抱き寄せると、信長は颯爽と愛馬に跨がった。

『三成、ゆっくりだぞ。左側を信長様に。揺らすなよ!』

家康と三成が、を馬上の信長に預けた。

『俺、秀吉さんの言う通り、先に行きますよ!』

『あぁ、の支度を頼む!』

『政宗様、信長様の脇を!』

『わかってる!殿、頼むぞ。捕縛も済んだ。家臣達もいる。何もないと思うが… やられるなよ?』

『誰に言ってる? 早く行け!』



「ふぅっ!」

『!』

信長の叫び声に、政宗と秀吉は振り向き、光秀も眉を寄せた。
抱き寄せる信長の左手は、の傷口を押さえ血に染まっていた。

『の意識が落ちそうだ。呼吸も荒い、行くぞ!』

信長は走り出し、ぴったりと三成、政宗が追う。




『くそっ、何でだよ!』

バァン!


秀吉の叫び声と、光秀の捕縛した刺客を狙った空音が、丘に響き渡った。








『咲、咲!』

家康が城につくと、何度も叫び女中頭を呼ぶ。
家康の血に濡れた装束を見た彼の側近が驚き声をかけた。

『何事ですか!』

『お怪我を?』

『お前達は湯を沸かせ!綺麗な布と消毒の酒、あと、俺の御殿から診察箱持ってきて!』

『咲!』

『家康様!何事ですか!』

『咲、…落ち着いて聞いて。が撃たれた。』

『え?』

『丘で信長様を狙った刺客に襲われた。信長様を庇って
は撃たれた。もうすぐ信長様が連れてくる。』

『、さま…。』

『咲、褥を準備して。それと着替えとさらしを準備するんだ。時間がない。』

『様が…』

咲の瞳から大粒の涙が零れた。

『咲!!』

『は、はい!』

城は慌ただしく動き出した。





『家康!家康!』

『政宗さん、こっち!』

『信長様、あちらです。』

『信長様、は?』

『あれから直ぐに、意識を手放した。血がまだ止まらない。息づかいはあるが。』

『様!』

『咲、あんたも頼りなんだ!落ち着いて!』

『酒とさらしは?』

『こちらに!』

『じゃあ、信長様、褥に寝かしてください!』

『家康、頼むぞ。』

『命に代えても。』



/ 101ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp