第10章 舞散る花びら
バァン!
『うっ!』
光秀の放った銃弾が、林の中の的に命中する。
『隠れてないで出てきやがれ!』
『信長様、馬で城へ!』
『、乗れ、こっちだ!』
「三成くん!…でも、みんなは?」
『大丈夫です、皆さん強いですから。さぁ、城へ!』
信長は、三成が引いてきた愛馬に駆け寄った。
『!来い!』
「は、はい…」
は、その場に似つかわない三成の笑顔と、その背後で拳銃の引き金を容赦なく引く光秀、そして林から現れた刺客と交戦する秀吉が見えた。
自分の数歩先には脇を狙われぬよう構える政宗と家康が見えた。
『!早く行け!』
政宗が叫ぶ。
「…みんな。」
ぐっと、は右腕を信長に引かれ、体が反転する。
その一瞬。
は、林から拳銃を構える別の刺客が見えた。
「はっ!」
そこは、政宗と家康の背後で、自分と信長の退路。
『どうした!?』
『のぶながぁ!覚悟ぉ!』
の見た刺客が林から身を乗りだし構え始める。
『くそ、こっちか!』
『政宗さん!』
政宗と家康が振り返り走り出す。
拳銃を構える刺客は、汗を流しながら震える手で引き金を引こうとしている。
『てめぇ、わかってるんだろうなぁ!』
政宗の怒号が響いた。
『震える癖に、撃てるわけ無い!』
『の、のぶながぁ!! この恨み…。覚悟ぉ!』
『貴様ぁ!』
政宗が抜刀した刀を刺客に向かって投げる。
「信長様、危ない!」
『!』
は咄嗟に信長を突き飛ばした。
バァン!
ぐわぁ!
ふぅっ!
『『!』』
乾いた音が響く。
政宗が投げた刀は、発砲してすぐの刺客の腹に突き刺さり、叫び声をあげた。
軽くよろけ、後ろに倒れかけた信長が叫ぶ。
目前で愛する者の肩口から血が吹き出るのが見えた。
仰け反るように倒れこむ愛しい姿。
信長と同時に、悲鳴のような家康の叫び声が響いた。
『『!信長様!』』
肩口から吹き出した深紅の血飛沫は
花びらのように舞落ちる。
平穏を崩すように
それは、それは
鮮やかに。