第10章 舞散る花びら
ピィー。
「あ、羽黒!」
『そろそろか。』
三人が丘についてから半刻が経った頃、蹄の音が近付いてきた。
『、ほら。』
家康が指差す先には、四頭の馬が見えた。
「信長様!」
が走り出そうとすると、政宗が腕を引く。
『すぐこっちに来るだろ。ここで待ってろ、な?』
『あんたはすぐ転ぶから。』
「あ、うん。そうだね。」
は、四人の方に視線を送っている。
『やはり殺気だな。』
『えぇ、あの人の姿が見えた途端に強くなりましたね。』
政宗と家康は、に聞こえないように数歩下がると意識を集中しながら頷いた。
『今、戻った。』
「お帰りなさい!」
馬から降りた信長は、駆け寄るを強く抱き締めた。
『共に連れていた家臣たちはまだ着きませぬ。
信長様、お早めに。』
『あぁ。』
『秀吉さん。』
『家康。政宗。ご苦労さん。
すぐに出るぞ。ここは、俺達に任せて二人は馬もってこい。』
『あぁ、頼んだ。』
秀吉、三成、光秀もただならぬ殺気に気付いていた。
秀吉は信長の一歩前に、光秀と三成は一歩後ろに控える。
『長居は無用だ。城へ戻るぞ?。』
「え?」
『ふっ、早く選んだ土産を見せたい。』
信長はの額に口付けた。
「お土産!信長様が選んでくれたんですか?」
『あぁ。さぁ、行くぞ…』
ピィーピィー。
「あれ?羽黒、どうしたのかな?」
信長が話終わり、の腰を抱こうとした頃。
羽黒が低く飛び始め信長の側に寄り始めた。
『信長様!』
光秀が林の方に向けて銃を向ける。
バァン!
バサバサバサ!
突然の乾いた音が林から響いた。
林の中の鳥たちが驚いて飛び立った。
「きゃぁー!」
『光秀!』
『秀吉、狙われてる。走れ!ぬかるなよ、護るんだ!』
『三成!退路を!』
『こちらです!』
『、こっちだ!』
「信長様、羽黒が、みんなが!」
『いいから、走れ!』
「秀吉さん! 光秀さん!」
が、刀を構えた秀吉と銃を向ける光秀の方を向いた。
走り寄る家康と政宗は、抜刀し、信長との脇を守るように立った。
『お前達!必ず戻れ、誰一人かけるな!』
『御意!』