第10章 舞散る花びら
「それなら、いいけど…」
『はぁ、あんた…。信長様に何て言われたの?』
「え?」
『笑っていろ、とかなんとか言われてなかった?』
「あ、そうだった。」
『。心配なのはわかるが、お前は笑ってるのが一番なんだ。その笑顔を目印に俺達は戻ってくる。』
「うん。」
『ふにゃふにゃ笑ってればいいの。
…それが、可愛いんだから。』
「『 え? 』」
「…な、どうしたの?家康。急に。恥ずかしいんだけど。」
『急に素直になるなんて珍しいな。具合でも悪いのか?』
『あの人たちがいないから、素直になっただけです。
もうやめますけど。』
「やめないでよ!…天の邪鬼だけど優しい家康も好きだけど、素直な家康も好きだよ?」
『…、あんた恥ずかしいからやめてくれる?』
『、俺はどうなんだよ?』
「政宗?…うーん。政宗は、料理がうまくて家臣思いで情に熱くて。だけど大切な物を護るためにギラギラして戦う男らしさもあって。そういう所好きだよ?」
『ギラギラって、野獣みたいですね。』
『家康、てめぇ。』
『他の四人は?』
『そうだな、どうなんだよ? 秀吉とか。』
「秀吉さん? 小言が多いのも私を心配してくれてるからだってわかってる。一番気の使い方とかが細やかで、皆を見てるなって思うよ。
そういう大人なところと、戦で近寄りがたいくらいの気を張ったところ…、かな?」
『小言はうるせぇが、気遣いは安土一かもしれねぇな。』
『じゃあ、光秀さんは?』
「光秀さんは、意地悪で思ってることを顔に出さないところはあるけど、優しいよ。少しの変化にも敏感で、空気を読むのが得意で、みんなのバランス…、あ、調和を保ってる感じ。」
『へぇ。光秀さんって優しいんだ。』
『三成は?』
『あいつはいいでしょ?』
「三成くんは、物腰柔らかで色んな事知ってるから頼りになるよね。でも、真反対なくらい戦では凛々しくなるからそのギャップ萌え、あ、その差がいいと思う。」
『あいつは、戦場では本当に策士だからなぁ。』
『じゃあ、信長様は?』
「…。あったかい、かな。」
『あったかい?』
『魔王なのにか?』