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暁の契りと桃色の在り処 ー音ー

第7章 俺とあいつと虎と鹿


『まぁ…。奥州と駿府の城主様が子供のよう。』

「咲、これは内緒ね。もう少しだけ、寝かせてあげよう。」

『あと一刻もすれば起きられることでしょう。』

「夕げ、みんなで食べようか。家臣の方にも話しておいてくれる?」

『承知しました。』


そんな会話をしていたなんて、俺は知らない。
家康も、俺もぐっすり寝てしまって目覚めたら陽が傾いていた。
に夕げを誘われて、それなら照月とわさびを御殿に返すと、一度二人揃って城を出た。

二人と二匹の影が出来た。

『すっきりした顔してるな。』

『政宗さんこそ。』

『膝枕、絶対言うなよ。』

『言えるわけ無いでしょ。斬られますよ?』

『役得だったな。』

『えぇ、ほんとに。…今夜、星が降るんですか?』

『どうだろうな。夕げを食べたら見てみるか。』

『そうですね。また喜ぶだろうし。』

同時に俺達は立ち止まる。
視線が一瞬絡まった。

『役得、ですね。』

『だな。』

俺達は足早に歩き出した。





「政宗、急に頼んだのに、だし巻き卵、ありがとう!」

一口、だし巻きを口に運ぶと「うーん!」って笑う。
…ずるいな、お前は。
何でも叶えてやりたいって思ってしまう。

「家康、唐辛子かけないで食べてみなよ。美味しいよ?」

『これも、旨いの。』

真っ赤に染まる家康の膳。
どうしてこう、織田軍は食でも個性が強いんだ?

『ねぇ、俺達がいない間は、昼も夜も皆で食べてたの?』

家康、おもしれぇこと聞くな。

「そうだね。時々、光秀さんが居ない時もあるけど、大体は皆で揃って食べてたかな。
謁見や政務が長引くと、…一人だったりもしたよ。
一人の夜は、咲が側にいてくれたんだ。」

『頑張ってたんだな。偉いぞ。』

ちょっとだけ、の瞳が揺らいだ。
寂しかったんだよな。
わかるぜ、手に取るように。

『食べながらは、何話すの?』

「だいたいは、食べ方を正す秀吉さんが喋ってて。」

『やっぱりな。』

「信長様が、私の好きなおかずをちょっとくれたり。」

『おかず、くれるの?』

「うん、ひょいって。」

『見てみたいな。』

「あとは、私が見つけた甘味や小物屋さんとか反物とかを話すよ。」











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