第4章 典医と友人の見立て
『俺が、さんに何かしたとでも?』
『それは、…ないと思いたい。だが都合が良すぎる。』
『秀吉公、都合は良すぎましたが、偶然です。
今日、謙信様と信玄様の酒と甘味が無くなり買い付けに来た帰り道に、さんに会いに来ただけです。』
『あながち、嘘ではないだろう。おかしな動きがあればこちらの忍や斥候から知らせが来るがそれもない。』
『光秀公、ありがとうございます。』
『俺は忍なので、腕試しも含めて天井裏から安土に忍び込むというやり方でしたが、俺が来た時には咲さんが介抱していた時でした。
かなりの目眩と耳鳴りで、あまり会話が出来てなかったんですが…』
佐助が話終わる前に、すっと襖が開いた。
『診察が終わったので、皆さんお部屋にとのことです。
様もお目覚めになりました。』
咲が襖を開けると、信長の胡座の中で胸にもたれ掛かりながら家康に脈をとられているが見えた。
『大丈夫なのか?』
『久しぶりにあって早々倒れるなんて肝が冷えたぜ。』
『暑さにでもやられたか?』
『起き上がれるようなら安心です。』
『さん…』
「家康、ごめん。みんな、何て?」
『『え?』』
『『は?』』
『皆が心配したと、暑さかと。起き上がれるようで良かったと話しておる。』
「あ、はい。ありがとう。」
信長が後ろから抱き締めるようにしながら、低い声でゆっくりと囁いた。
『家康公、やっぱりさん、耳が…』
『佐助、気づいてたんだ。』
『なっ、。耳が聞こえないのか?』
『どういうことだ? 家康。』
『聞こえないのか?俺の声。』
『秀吉さん、光秀さん、政宗さん。落ち着いていください。聞こえてはいます。囁くように低い声なら。
だから、ほら。信長様が今の状況をに伝えています。』
信長にもたれ掛かりながら状況を聞き、はにこやかに頷いた。
『…病か?』
『光秀さん。そこなんですが… 診察しても余り不調は無さそうなんです。
それよりも、の周りからの影響で気が不安定になったからなのかと…』
『気が不安定?』
『咲、さっき話した家臣との話や最近のの状況話して。』