第4章 典医と友人の見立て
『さん、大丈夫? いつから?』
「さ、佐助くん…。目眩と耳鳴りが。」
の周りは幕を張るように音が鈍く消えていく。止まらない目眩に呼吸までも乱れ始めた。
『初めてじゃないの? ゆっくり呼吸して。』
「目眩とっ、耳鳴り…。うっ、」
『いつから?』
「うっ、え? な…に? はぁ、はぁ。」
『さん、駄目だ、ゆっくり呼吸しなきゃ。』
「うん、ごめっ、佐助くん。わからない。」
『え?』
「うっ、佐助くん…。聞こえないの。」
『は?』
※
佐助がの介抱を始めた同時刻。
咲は、着物の裾をたくしあげ慌ただしく広間に向かった。女中の咲の足音は軍議の広間には不謹慎とされ、家臣が咲の行く手を塞ぐ。
『軍議中だ! 失礼ぞ!』
『お通しください! 信長様と家康様に!
お願いでございます!様が!』
『がどうしたのだ!?』
広間の襖が勢いよく開かれ、秀吉が姿を表した。
『は、はい。先程、酷い目眩と耳鳴りでお倒れに!』
『『『 何? 』』』
ガタン!
脇息を倒すと信長は、立ち上がり上座からの自室へ駆け出す。
『どういうこと?
咲。今、お前がここにいて誰がの側に?』
家康もまた、立ち上がり信長の後追いながら、咲に声をかけた。それに他の四人も続く。
『緑の装束の忍が現れ、上杉の忍でご友人と。
その方が変わるから、早く呼びに行け、と。』
『佐助か!』
『あいつ…』
慌ただしい足音がの自室で止まった。
スパン!
信長が勢いよく襖を開ける。
『佐助…』
『お邪魔してます。』
『は?』
『目眩と耳鳴りがようやく落ち着いて、眠りました。』
『どういうこと? 咲、佐助、状況教えて。』
青白い顔をしたは、佐助の膝の上で眠っていた。咲が急いで褥を用意すると、そこに寝かしつけた。
『先に診察します…。信長様は、…付き添いますね。
じゃあ、あとは廊下に。佐助も。咲は居て。』
の自室は、信長、咲、家康を残し廊下に移動する。秀吉と三成は、佐助に詰め寄り始めた。
『いつから居た? なにしてた?』