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暁の契りと桃色の在り処 ー音ー

第3章 繁栄と幸せの狭間


『まぁ、様。よい知らせですね!』

「うん、そうだね。家康が来てくれたら体調も安心出来るし、政宗のご飯も楽しみ。城下に一緒に行ったり、ワサビや照月と遊びたいなぁ。」

秀吉は、先程泣き腫らしたであろう目元を見つめながら微笑んだ。

『あぁ、行ってこい。御館様もお許しになるだろう。』

『さぁ、そうなれば、様!
お早くお休みなさいませ。』

『そうだぞ。あ、。天守で眠るように、と仰っていたぞ。』

『秀吉様、様は…』

「お咲、大丈夫。秀吉さん。私、月のものが来たの。だから、天守には行けないよ。」

『すまない、さっき立ち聞きした。』

「えっ…」

『御館様にも報告した。だが、それでも天守にと。の寝床は天守だと。』

「…信長様。」

『さぁ、行け。』

「うん。」

の目元はうっすらと涙の膜が出来、瞬きと合わせれば、すっと一滴流れ落ちた。

は、にこりと笑うとゆっくり立ち上がり天守に向かうのだった。





天守では、文をしたためる信長の側で光秀が報告をしていた。

『西の緒大名の集まりを、毛利は静観しつつあるようです。』

『やはりか。』

『確たる将がいないため、纏めるにも難があるのかと。』

『牽制のための出陣で良かろう。』

『よい武器を見つけられれば、尚宜しいかと。』

『あぁ。家康と政宗も此方に着く頃だ。改めて軍義しようぞ。』

『はっ。』

『。入れ。』

「ご存知だったのですか?」

『お前の腑抜けた気配など、誰でもわかる。』

「光秀さん!」

信長は、ふっと笑うと立ち上がりを迎え入れた。抱き着くように寄り添うの頭に口づけをすると、信長は手を引き褥に向かう。

『今宵は、まだ政務がある。側にいる。ゆっくり休め。』

「何も聞かないんですね…」

の一言に、光秀と信長は目を合わせ笑いだした。

『案ずるな。貴様の事ならすべて承知だ。閨での情事も全て、な。』

『さすが、我が主君。さて、私はここまで。』

光秀は、静かに頭を下げるとに向かい

『おやすみ』と囁くと天守を出ていった。








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