第4章 大魔お..法使いナタリン☆
「フッ、ハハハハ!!」
その声にハッと我に返る。いつの間にか白いモヤが消え、青年は2メートル先の正面に座っていた。その瞳には涙。
「やっぱり君は面白いね。」
あっけらかんと愉快そうに私を観察してる。な、なんだヨ!!美顔耐性は大分ついてんだかんな!!きれいな顔··。
というか、なんだ、冗談か!ーーと分かった瞬間、正面に大量の箱が転がっていたのに気付く。いや、積まれて突起してる部分が一つある。そこに、どういうバランス感覚か、青年は座っていた。
「箱···?何、ここ··」
白い壁、白い床。転がっている箱とこの青年以外、360度まっしろ。砂漠の中
に二人だけ取り残されたみたい。
何この、体が浮いてるみたいな感覚··。と、ハッと気付く。
っ、て立ち入り禁止の文字もあの鎖もない!??私、気を失ってる間に連れ去られたんだ····!!
青年に警戒の目を向け後ずさったけど、この男の人は、サラッとした、普通の人間のような表情で、部屋を回り始める。
「冗談。この家で装飾品とか細かい内装がないのはここだけだからボーッとしちゃうのも無理はないね。」
「!···は、はぁ」
なんだ、連れ去られたと言っても、家の中!!はあ良かったあああ!んもううう!!!!生物の教科書を忘れた日、理科子ひゃん理科好きだから絶対貸してくれないし、せ、ぜんぜいに伝えなきゃ···と朝からブルーになった後、生物が自習になった時の安堵感!いや、その100倍、何万倍!!
きっと皆さん気付いてくれてーー··
「···!」
気付いて、くれるのかな···?
「どうしたのかい?」
おや、と少しキョトンとした顔を私に見せてきた。というかまた真横にいる。とても演技とは思えない。
自分でさらっておいて、この人やばい奴だ··。ある意味顔怖くて乱暴な人よりコワイ。
「い、いえ別に···」
や、そんな事思ってる場合じゃない!!顔をひきつらせて私は男の人に無抵抗をアピール。
華夜さん··。
本当に申し訳ない事をした。多分、見捨てやしないだろうけど、··いや、分かんないけどきっとそんな人じゃない!!!